今後10年間の日本の腎疾患対策の方向性を示した報告書が7月に厚生労働省の「腎疾患対策検討会」で取りまとめられた。検討会の座長を務めた柏原直樹氏(日本腎臓学会理事長)に、腎臓病克服に向けた道筋を聞いた。
全体目標として「自覚症状に乏しい慢性腎臓病(CKD)を早期に発見・診断し、良質で適切な治療を早期から実施・継続することにより、CKD重症化予防を徹底するとともに、CKD患者(透析患者・腎移植患者を含む)のQOLの維持向上を図る」ことを掲げました。個別目標は、①普及啓発、②医療連携体制、③診療水準の向上、④人材育成、⑤研究の推進―の5つです。
成果目標を立てたことも特徴です。その1つが「2028年までに年間新規透析導入患者数を3万5000人以下に減少させる」という数値目標です。16年の年間新規透析導入患者数は約3万9000人ですから、10年間で10%減少を目指します。
報告書を取りまとめるにあたり検討会では、日本糖尿病学会や日本循環器学会、日本透析医学会のトップのほか、日本医師会や疫学の専門家、行政の代表者が参画し、皆が同じ風景をみて、今後10年間の腎疾患対策を考えようという心持ちで議論しました。