東京医大による医学部入試の得点調整問題で、同大の第三者委員会は23日、第1次調査報告書を公表した。報告書では、過去2年の入試で男女計69人が本来は合格ラインに達していたのに調整で不合格とされたことを指摘。同大に対し、調整前の合格者名簿による合否判定を追加実施し、2018年度の追加合格者については19年度入学ができる地位を認めるとともに、補償請求にも対応するよう提言している。
同大は一般入試・センター利用入試の2次試験の点数について、受験生の性別や高校卒業からの経過年数に応じて一部の受験生にのみ加点し、女子と3浪以上の男子が不利となる調整を行った。1次試験では、臼井正彦前理事長と鈴木衞前学長の指示で、特定の受験生の点数を書き換えさせるなどの調整も行っていた。
第三者委は、17年度と18年度の入試成績について、得点調整がなかった場合の合格者選定名簿を復元。その結果、不合格とされていた今年の50人と昨年の19人が合格ラインに達していたことが分かった。 女子受験生については、18年度の一般入試で82人が合格となるところ、調整によってほぼ半数の43人に抑制された。17年度の一般入試でも合格者は66人が55人に調整された。センター利用入試についても、復元した名簿では18年度の合格者が26人から31人に増加する結果となり、不正の疑いが浮かび上がった。
得点調整の背景については、鈴木前学長が「17年度は女性が多かったから18年度は男性を多く採りたい」旨の発言をしたことが、合否判定における入試委員会の意思決定を歪めた疑いがあると指摘している。