厚生労働省は7日、厚生科学審議会の「リウマチ等対策委員会」(委員長=宮坂信之東京医歯大名誉教授)が取りまとめた報告書の最終版を公表した。今後の関節リウマチ対策の全体目標として、長期的な患者のQOL改善と年代別の診療・支援体制の充実などを掲げている。診療ガイドラインの改訂を進め、診療の標準化も図る。
報告書の改訂は2011年以来7年ぶり。報告書では、メトトレキサートや生物学的製剤などの普及で関節リウマチの治療が進歩し、患者の疾患活動性を低く保てるようになってきた一方で、薬物療法の副作用や医療費の高額化などの課題も出現したと指摘。生物学的製剤の適正使用を推進するとともに、薬物療法で疾患活動性が低下している患者への薬物の減量・休薬・中止について関係学会に検討を求め、診療ガイドラインに反映すべきとした。
医療提供体制に関しては、一般医療機関と専門医療機関の連携不足を問題視。日本リウマチ学会が作成した一般医向け診療ガイドラインについて、発症早期における紹介基準を示すなどの改訂を加えて周知するよう、医療団体と関係学会に求めた。専門的な医師の育成を通じて、診療レベルの地域偏在の解消を図ることも盛り込んだ。
年代別の診療・支援体制の充実に向けては、社会生活やライフイベントに配慮しつつ、治療との両立支援のモデル構築を進める。患者の高齢化も踏まえ、合併症や運動器障害にも対応した診療ガイドラインに改訂すべきとした。
このほか、関節リウマチの患者数を巡っては、調査によって差が大きいことから、国と関係学会が連携しつつ、疫学的実態の解明を進めていくべきとしている。