【閉塞性黄疸に対する第3の治療法】
閉塞性黄疸の治療は,経皮経肝胆管ドレナージ,内視鏡的経乳頭ドレナージの2つが主な治療法であった。経皮的ドレナージは体表に外瘻を長期間留置しなければならず,患者QOLの点から経乳頭的ドレナージが最近の第一選択であった。しかし,胆管挿管不成功や十二指腸狭窄などで不成功に終わる症例も少なくはなかった。このような症例に対し,ここ10年間で超音波内視鏡(endoscopic ultrasonography:EUS)下にドレナージを行う第3の治療法(interventional EUS)が開発され,注目されている。
interventional EUSは,コンベックス型の超音波内視鏡を用いて消化管から近接している対象を穿刺し,診断・治療を行う手技である。閉塞性黄疸に対してはEUS-guided biliary drainage(EUS-BD)と呼ばれ,①胃から肝内胆管(EUS-guided hepaticogastrostomy:EUS-HGS),②十二指腸から総胆管(EUS-guided choledochoduodenostomy:EUS-CDS),の2つの経路があり,病態により選択される。本法では急性膵炎の心配はなく,外瘻もないため患者にとってもメリットは大きい。保険適用となってはいるがまだ確立されていない手技であり,穿孔や腹膜炎などの重篤な偶発症が起きる可能性もある。各学会から出されている提言(作成委員長:藤田直孝)や,今後発表されるガイドライン(作成委員長:伊佐山浩通)などを参考として慎重に行って頂きたい。
本法は現在発展途上の手技であり,安全性の確立や専用のデバイス開発が進められている途中であるが,今後さらなる発展が見込まれる。
【解説】
藤澤聡郎*1,伊佐山浩通*2,永原章仁*2 順天堂大学消化器内科 *1准教授 *2教授