株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

再発大腸癌に対する腹腔鏡下手術

No.4937 (2018年12月08日発行) P.55

神山博彦 (順天堂大学下部消化管外科)

坂本一博 (順天堂大学下部消化管外科教授)

登録日: 2018-12-07

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【手術の難易度は高いが,施行症例数は増加】

『大腸癌治療ガイドライン 医師用2016年版』1)では,再発大腸癌の治療方針として「再発臓器が1臓器の場合には,再発巣の完全切除が手術で可能であれば積極的に切除を考慮する」とある。腹腔鏡下手術については難度が高いので,「個々の手術チームの習熟度を十分に考慮して適応を決定する」と記載されるにとどまっている。腹腔鏡下手術は,開腹手術に比べて手術時間が長い一方,腸管運動の回復が早い,在院期間が短い,などの短期成績が優れていること,合併症発生率および再発率・生存率は同等であることが報告されている。

2017年の日本内視鏡外科学会総会では,再発大腸癌の腹腔鏡下手術はワークショップに取り上げられているほか,多くの関連演題の発表が行われた。わが国における実臨床では,腹腔鏡手術の全般的な普及とともに,再発大腸癌に対する腹腔鏡下手術は増えていると考えられる。再発大腸癌では,初回手術による修飾が加わり正常解剖から逸脱しているため,手術の難度はより高い。がんの遺残がない完全切除を実現するためには,術前の画像評価や手術計画を詳細に行うことが求められる。

術後の再発を避けるためには,化学療法や放射線療法を併用するなどの集学的治療が有用である可能性がある。3D画像やナビゲーションシステムを使用することで,症例ごとに個別化された精緻な手術をめざす取り組みも,術後再発の軽減への貢献が期待される 。

【文献】

1) 大腸癌研究会, 編:大腸癌治療ガイドライン 医師用2016年版. 金原出版, 2016.

【解説】

神山博彦,坂本一博 順天堂大学下部消化管外科 *教授

関連記事・論文

関連書籍

関連求人情報

公立小浜温泉病院

勤務形態: 常勤
募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
勤務地: 長崎県雲仙市

公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top