【患者頭部に体温プローブを貼付し中枢温を測定するデバイスが注目されている】
手術麻酔中の体温モニタリングは,①急激な体温上昇を早期に発見し,②低体温による合併症を予防すること,を目的として行われる。日本麻酔科学会は「安全な麻酔のためのモニター指針」の中で,麻酔管理中に体温の測定を行うことを勧告している。また,英国国立医療技術評価機構(NI CE)は「周術期低体温予防のガイドライン」を作成し,ASPAN(American Society for PeriAnesthesia Nurses)は術中体温維持の推奨とエビデンスを公表している。
手術中の体温測定時には,個々の症例に適した測定箇所とデバイス選択が求められる。最近では,患者頭部に体温プローブを貼付し中枢温を測定する,非侵襲的で衛生的,かつ簡便に扱うことができるデバイスが注目されている。
Temple Touch ProTM(Medisim Co. Ltd.)は,側頭動脈上に貼付して中枢温を計測することができる。比較検討試験で,各計測ポイントで0.5℃以内の誤差であったのは全体の94%(95%CI;87~99%)であり,体温の測定精度が高かった1)。また,ベアーハガーTM深部温モニタリングシステム(3M)は,前額部にセンサーを貼付することで中枢温を計測する。自験例であるが,食道温との追従性は高く,強い相関(r=0.83)を認めた2)。
【文献】
1) Evron S, et al:Anesth Analg. 2017;125(1):103-9.
2) 立花俊祐, 他:臨麻. 2015;39(6):917-20.
【解説】
立花俊祐 札幌医科大学麻酔科