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(1)IgG4関連唾液腺病変の診断と治療─耳鼻咽喉科/頭頸部領域より[特集:唾液腺・眼病変からみたIgG4関連疾患の進歩]

No.4939 (2018年12月22日発行) P.28

氷見徹夫 (札幌禎心会病院頭頸科)

高野賢一 (札幌医科大学医学部耳鼻咽喉科教授)

髙橋裕樹 (札幌医科大学医学部免疫・リウマチ内科教授)

登録日: 2018-12-24

最終更新日: 2018-12-18

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IgG4関連疾患の中で唾液腺病変は好発部位のひとつである

診断は症状,高IgG4血症,リンパ球・IgG4陽性細胞浸潤と線維化の組織所見による。特に3カ月以上続く対称性の唾液腺腫脹はIgG4関連疾患を疑う

典型的IgG4関連涙腺・唾液腺炎(いわゆるミクリッツ病)は臓器別診断基準を,顎下腺のみの硬い唾液腺腫脹(いわゆるキュットナー腫瘍)には包括診断基準も用いて診断する

生検組織は,小唾液腺組織でなく,顎下腺など硬化・腫脹を認める罹患臓器からの標本採取が望ましい

唾液腺局所の評価にはエコー,FDG-PETが,他臓器でのIgG4関連疾患の合併の有無の評価にはFDG-PETが有用とされている

治療の基本はステロイド投与であるが,寛解・再燃を繰り返すこともある

生検が難しい臓器でのIgG4関連疾患病変診断確定のため,付随臓器病変としての唾液腺病変の画像検査・組織生検が有用なことがある

1. IgG4関連疾患の概念

IgG4関連疾患(IgG4-related disease:IgG4-RD)は,わが国より提唱された新しい疾患概念である。高IgG4血症とリンパ球,IgG4陽性形質細胞浸潤,線維化による腫瘤形成,肥厚性病変が特徴で,しばしば複数臓器に病変が形成される。病変は同時性あるいは異時性に諸臓器病変を認めるが,罹患臓器としては膵臓,胆管,涙腺・唾液腺,中枢神経系,甲状腺,肺,肝臓,消化管,腎臓,前立腺,後腹膜,動脈,リンパ節,皮膚,乳腺など広範に報告されている。この中で涙腺・唾液腺,膵臓,胆管,腎臓,後腹膜・大動脈周囲が特に好発部位である。全身疾患としての特徴を有することもあるが,単一臓器病変にとどまる場合も多い1)~3)

発症年齢は60歳代にピークがあり,罹患頻度を考慮すると,涙腺・唾液腺病変を主体とするIgG4関連涙腺・唾液腺炎(いわゆるミクリッツ病:Mikulicz’s disease)と自己免疫性膵炎が代表的IgG4関連疾患である。原因は不明であるが,免疫異常が病因であると考えられており,病態解明のための研究も進んできた(病態の項参照)。

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