腹圧性尿失禁に対するTVT(Tension-free Vaginal Tape)手術の豊富な実績と、TOT(Trans-Obturator Tape)手術の日本におけるパイオニアとして知られる巴さん。下部尿路症状や骨盤臓器脱、排便機能障害などを骨盤底機能障害と捉え、総合的に診る「骨盤底機能再建外科」という新たな領域を切り拓き、医療界への浸透に努めている。日本でただ一人の女性の泌尿器科教授、日本泌尿器科学会代議員という精力的な仕事ぶり。「ごりごりですよ」と話すが、その笑顔は温かく柔らかい。
泌尿器科には一般に“男性生殖器を中心に診る科”というイメージがあり、女性患者は行きにくい雰囲気だった。巴さんは尿失禁や膀胱炎に関する本を書き、雑誌やテレビの取材に積極的に応じるなど、早くから患者の啓発に取り組んできた。「『私今日、泌尿器科なの』と気軽に人に言えるような風土を作りたかった。本を読んだ患者さんが来るようになり、待合室に女性が増えてくると、『あなたは何で来たの?』と聞き合ったり、患者さん同士、案外打ち解けやすいんですよ」
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