【進歩と今後のポジション】
尿路結石は,生活の質を低下させる罹患率の高い良性疾患である。体外衝撃波破砕術(ESWL)は,尿路結石治療として確立されて以来,その治療対象,方法が変化している。以前は,ほとんどの腎尿管結石に対して,ESWLは第一選択のひとつとされていたが,2013年版の「尿路結石症診療ガイドライン」では,第一選択となるのは上~中部尿管の10mm未満の結石となり,そのほかの結石に対しては,経尿道的あるいは経皮的内視鏡下のレーザー治療がより有効(もしくはほぼ同等)であり,第一選択とされた1)。
しかしながら,非麻酔下,日帰りでの治療が可能なESWLの簡便さは臨床上有用であり,破砕効率の改善のための工夫が行われている。その1つが,空洞化(cavitation)の除去である。皮膚と破砕装置の間に発生する気泡はcavitationとして,衝撃波の通過を阻害する。この気泡を超音波画像でリアルタイムに把握し,気泡を適宜除去することができる。上部尿管結石に対する砕石率は,超音波未使用では69.5%であるのに対し,超音波併用では84.6%とその有用性が報告されている2)。また,衝撃波の発生頻度(shots/分)についての検討では,cavitationが発生しにくい60shots/分では,発生しやすい120shots/分よりも砕石率が良好であることが報告された3)。
今後,ESWLは,技術の進歩により再び治療範囲が拡大する可能性もある。
【文献】
1) 日本泌尿器科学会, 他, 編:尿路結石症診療ガイドライン 第2版. 2013年版. 金原出版, 2013.
2) 宮澤克人, 編:尿路結石ハンドブック. 中外医学社, 2016.
3) 嘉島相輝, 他:日泌会誌. 2016;107(2):93-9.
【解説】
小川貴博 東海大学医学部付属八王子病院泌尿器科