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マルファン症候群の診断と治療

No.4954 (2019年04月06日発行) P.47

神吉佐智子 (大阪医科大学外科学講座胸部外科学)

勝間田敬弘 (大阪医科大学外科学講座胸部外科学教授)

登録日: 2019-04-05

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【新Ghent基準と遺伝子診断の普及】

マルファン症候群(MFS)は,大動脈(大動脈瘤や大動脈解離)や骨格(高身長,細く長い指,漏斗胸,側弯など),眼(水晶体偏位),肺(気胸)などの多臓器に障害が発生する遺伝性疾患である。発症率は5000人に1人とされており,75%は親から遺伝して発症する。遺伝様式は常染色体優性遺伝で,子へ遺伝する確率は50%で男女差はない。

MFSでは,幼少期から大動脈の拡大は進行し,急性大動脈解離を発症すると生命予後や生活の質は著しく低下する。そのため,幼少期からMFSと診断し,心エコーやCT,MRIで大動脈径拡大の経過を注意深く観察するとともに,服薬を検討する必要がある。特に,大動脈拡大速度を予測することで,大動脈解離発症前に大動脈基部置換手術を行うことが肝要である。バルサルバ洞径が45mm(妊娠出産を控える若年女性は40mm)を超える前に手術を行うことが推奨されている。

診断に用いられていたGhent基準は2010年に改訂され,大動脈以外に特徴がない患者や小児期の診断も可能となった。新基準では,①大動脈基部拡張もしくは解離,②水晶体偏位,③遺伝要因(家族歴もしくはFBN1遺伝子変異),④身体徴候(スコア),のうち2つ以上を満たす場合にMFSと診断される。

MFSの遺伝学的検査は16年に保険収載され,遺伝カウンセリングなどの基準を満たす施設でのみ受けることができる。遺伝子の変異様式によって症状や疾患の進行が異なることが明らかになってきており,大動脈手術の至適時期の判断にもつながるため,有益である。

【解説】

神吉佐智子,勝間田敬弘  大阪医科大学外科学講座胸部外科学 *教授

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