1 総論:2010年改訂から2019年改訂へ
2 CQ2:腎障害合併高尿酸血症
3 CQ3:高尿酸血症合併高血圧
4 CQ6:コルヒチンカバー
5 病型分類
2010年に発刊された「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第2版」では,高尿酸血症を尿酸結晶による尿酸沈着症と無症候性高尿酸血症にわけ,前者に関しては治療の開始基準と治療目標を定めたのに対して,後者に関しては臓器障害ならびに生活習慣病のマーカーとして扱うことになっていた。その後,高尿酸血症と臓器障害との関連を示す報告が増加する一方で,欧米のリウマチ学会のガイドラインでは1),無症候性高尿酸血症の尿酸コントロールを,痛風や腎障害および心血管イベント発症予防の目的では行わないとしており,わが国のガイドラインとは異なる点が認められた。また,フェブキソスタットやトピロキソスタットといったキサンチン酸化還元酵素阻害薬が高尿酸血症単独の診断名で使用できるようになった。
加えて,ガイドライン作成法も2014年に大きく変更された。クリニカルクエスチョン(clinical question:CQ)に対して網羅的文献検索を用いた医療行為の益と害のバランスを評価し,患者の価値観や希望,ならびに医療経済を鑑みて推奨を決定することが求められた。そこで,「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版」2)では重要な臨床課題として,学会評議員から155のPICO(patient,intervention,comparison,outcome)形式のCQと治療介入による益と害の項目(アウトカムという)を募集し,投票により決まった7つのCQとその推奨文を作成した。診療の現場において意見がわかれる点を疑問文で表したものがCQである。CQに対して,治療介入による益と害のアウトカムのエビデンスのバランスを評価し,患者の価値観や希望と医療経済的な観点を加えて,それぞれの推奨文を作成している。なお,推奨の強さと方向性に関しては,図1に示す。また,「高尿酸血症・痛風の診療マニュアル」を作成し高尿酸血症・痛風の疫学,診断,病態別治療に利用できるようにした2)。
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