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造血器腫瘍患者の長期フォローアップ─地域の内科医との連携[内科懇話会]

No.4957 (2019年04月27日発行) P.36

司会: 浦部晶夫 (日本経済新聞社保健センター所長)

演者: 岡本真一郎 (慶應義塾大学医学部内科学教室教授)

登録日: 2019-04-26

最終更新日: 2019-04-24

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  • 【司会】浦部晶夫(日本経済新聞社保健センター所長)
    【演者】岡本真一郎(慶應義塾大学医学部内科学教室教授)

    造血器腫瘍は,遺伝子異常の加わった造血幹細胞がどこで分化を止めたかで分類する。主な疾患に,白血病,悪性リンパ腫,多発性骨髄腫がある

    治療は,化学療法,造血幹細胞移植,そして支持療法が中心となる

    移植後の慢性移植片対宿主病(GVHD)や後期合併症へ速やかに対処するために,移植をした病院とフォローアップをしている病院が連携して診療にあたる必要がある

    多職種,他領域が連携して在宅医療が可能となれば,患者にとって大きな福音となる

    ◉ 造血器腫瘍の分類

    造血器腫瘍とは,正常な造血幹細胞が成熟した血球に分化・増殖する過程で,何らかの遺伝子異常が起こりその成長が止まり,未熟な細胞が増えていく疾患です。

    多能性造血幹細胞は,骨髄系幹細胞に分化する系統とリンパ系幹細胞に分化し,骨髄系幹細胞からは好中球,血小板,赤血球ができます。また,リンパ系幹細胞はT細胞系,B細胞系にわかれ,さらに胸腺・リンパ節で教育されて,やがて末梢の成熟したT細胞,形質細胞に分化します(図1)。

       

    造血器腫瘍は,臨床的にはどの段階で成長が止まるかで分類します。たとえば,多能性造血幹細胞における異常で骨髄増殖性腫瘍,慢性骨髄性白血病が発症します。造血幹細胞が2つに枝わかれしたところより先で成長を止めた場合は,急性骨髄性白血病,急性リンパ性白血病と呼びます。また,造血幹細胞が骨髄を離れてリンパ節あるいは胸腺に移行した段階で成長を止めてしまって増殖した疾患を悪性リンパ腫,慢性リンパ性白血病と呼びます。さらに,成熟したT細胞あるいはB細胞の形質細胞が増殖するものを,骨髄腫あるいは成人T細胞性白血病として学生には教えています(図1)。

    その中でも代表的なものは,白血病,悪性リンパ腫,多発性骨髄腫です。これらは全国の推計を見ると,高齢になるに従って年々増えてきています。

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