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HFpEFの治療戦略はどこに向かうのか?[J-CLEAR通信(102)]

No.4960 (2019年05月18日発行) P.36

絹川弘一郎 (富山大学大学院医学薬学研究部内科学第二教授)

登録日: 2019-05-17

最終更新日: 2019-05-15

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1 HFpEF増加の現況

EFの保たれた心不全(heart failure with preserved ejection fraction:HFpEF)は社会の高齢化とともに先進国でその数を増している。1990年代後半に米国で指摘されて以来1),わが国においても21世紀に入って,EFの低下した心不全(heart failure with reduced ejection fraction:HFrEF)を,特に入院患者において数的に凌駕するようになっている2)

なぜ,このような状況になっているのか。必ずしもその理由は明確ではないが,高齢者が感染症や悪性腫瘍では亡くならず,長年にわたる生活習慣病に罹患した後,70歳代,80歳代に突入することが普通になってきた,まさに21世紀病と言えるのではないかと考えている。この生活習慣病の終末像としての位置づけは,近年Walter Paulusらによって提唱されているHFpEFの心筋障害がHFrEFとは異なるのではないか3)という仮説に通ずる。Paulusらの仮説はそもそもはHFpEFに対してHFrEFの治療が有効ではなかったことをいかに説明するかということに端を発した考えである。

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