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【他科への手紙】透析科→内科

No.4806 (2016年06月04日発行) P.61

奥村紀子 (天理よろづ相談所病院腎透析科副部長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-01-24

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  • 透析専門医の最大の責務は、「最高の透析ライフ」を創造することです。腎臓内科医の多くが、多かれ少なかれ「透析に至ることは敗北」という潜在意識を持っているのに対して、透析医は、その点が決定的に異なります。患者に「最高の透析ライフ」を提供していくためには、どのタイミングで、どの種類の透析治療を選択していくかというシナリオが、非常に重要となってきます。これを「包括的腎代替療法」と呼び、患者の残腎機能をはじめとした全身状態、さらにはライフスタイルなどを総合的に判断して、適切な治療を選択します。腎代替療法には、大きくわけて血液透析(hemodialysis:HD)、腹膜透析(peritoneal dialysis:PD)、そして腎移植の3つのカードがあります。

    ガイドラインでは、残腎機能が温存されている初期段階で、透析をPDから開始し、可能な限り腎機能を温存させることを推奨しており、これをPDファーストと形容します。一方で、衰弱した高齢患者が在宅で生涯にわたってPDを継続する方法もあり、これをPDラストと呼びます。

    透析医が腎不全患者にとっての素晴らしいシナリオを作成していくためには、総合内科や糖尿病内科との連携が不可欠です。なぜならば、透析医への受診のタイミングが遅くなると、選択できるカードがHDただ1枚となり、患者によっては不本意な選択肢となってしまうからです。

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