厚生労働省の「非感染性疾患対策に資する循環器病の診療情報の活用の在り方に関する検討会」(永井良三座長)は5日、急性期医療や公衆衛生への活用を目的に、まずは脳梗塞など6疾患のデータベースを構築するとした報告書を大筋でとりまとめた。来年度中にもモデル事業を始め、全国規模での運用につなげたい考え。
対象施設は、関連学会が認定する医療施設や救命救急センターなど。脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、急性冠症候群、急性大動脈解離、急性心不全(慢性心不全の急性増悪も含む)の6疾患について、急性期入院の患者を対象に、主に入院時と退院時の情報を把握する。情報の集約・管理・提供については国立循環器病研究センターが機能を担う。
報告書によると収集した診療情報は、①急性期医療現場(救急搬送、医療機関搬入直後)、②正確な患者数や罹患率を踏まえた診療提供体制の構築や予防等の公衆衛生―に活用する。①の急性期医療では、循環器病の既往歴などの包括的かつ統一的な把握が発症後早期の適切な診療に結びつくと期待されている。②の公衆衛生の向上については、発症患者数や医療機関への搬送状況、急性期から回復期・維持期への転帰といった診療情報を収集し、診療実態を明らかにする必要があるとした。
まずは来年度中にもモデル事業で診療情報の収集事業をスタートし、運用方法や登録内容等の検証を行った上で診療情報を収集・活用できる全国規模のシステムを構築。運用開始を目指すとしている。
報告書を大筋でとりまとめた「非感染性疾患対策に資する循環器病の診療情報の活用の在り方に関する検討会」