腎盂,尿管の尿路上皮癌は比較的稀な疾患で,全尿路上皮癌のおよそ5~10%を占める。男性が女性の2倍と多く,50~70歳代に多く認められる。腎盂・尿管癌の症状として血尿(75%以上)が最も多く認められる。ついで側腹部痛(約30%)が認められる頻度が高い。無症状で他の疾患精査中に偶然発見される腎盂・尿管癌もおよそ15%に認められる。
喫煙や芳香族アミンの職業性曝露は膀胱癌と共通のリスク因子である。フェナセチン,バルカン腎症(Balkan nephropathy),漢方薬腎症などは腎盂・尿管癌の特徴的なリスク因子である。
CT urography等の画像検査を施行し腎盂・尿管に病変を認め,自然尿細胞診が陽性で下部尿路癌が否定的であれば,腎盂・尿管癌と診断される。
CT urography等の画像検査を施行し腎盂・尿管に病変を認めるも,自然尿細胞診が陰性であれば,腫瘍生検を含めた尿管鏡検査や選択的上部尿細胞診採取を含めた逆行性尿路造影検査を行い,確定診断を進める。
CT urography等の画像検査で所見を認めず,自然尿細胞診が陽性で下部尿路癌が否定的であれば,尿管鏡検査や選択的上部尿細胞診採取を施行し,腎盂・尿管の上皮内癌(carcinoma in situ:CIS)の確定診断を進める。
腎盂・尿管癌に同時に併発する膀胱腫瘍の頻度は比較的高く,診断時膀胱鏡検査は行う必要がある。
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