政府は16日、自殺対策法に基づく2019年版の「自殺対策白書」を閣議決定し、公表した。18年中における自殺者総数は2万840人(前年比481人減)、人口10万人当たりの自殺死亡率は16.5(同0.3ポイント減)と、いずれも9年連続で減少。一方で、19歳以下の自殺者は599人(同32人増)、19歳以下の自殺死亡率は2.8(同0.2ポイント増)で、自殺死亡率は1978年の統計開始以来最悪となった。白書では、未成年を含む若年層の自殺を「深刻な問題」とし、さらなる詳細な状況の把握と対策の効果検証が必要だとしている。
18年中に自殺した19歳以下のうち、男性は366人、女性は233人。全員10代で、10歳未満はいなかった。
10代の自殺者1人につき特定された原因・動機を3つまで計上すると、延べ568人のうち最も多かったのは「学校問題」(188人・33.0%)で、「健康問題」(119人・21.0%)、「家庭問題」(116人・20.4%)、などと続く。学校問題では、学業不振(57人)、進路に関する悩み(46人)が多く、学友との不和は27人、いじめが原因と特定できたのは2人だった。健康問題では、うつ病・統合失調症以外の精神疾患の悩み・影響が49人、うつ病の悩み・影響が41人、身体の病気の悩みが10人などとなっている。
10代では他の年代に比べ、突発的に行われうる手段での自殺が多い傾向がみられ、男女とも飛降りと飛込みによる自殺が全体の3割前後を占めている。
厚生労働省は若年層の自殺防止に向け、計9団体によるSNS相談事業を実施している。18年度の相談延べ件数は2万2725件で、うち19歳以下は9112件だった。