【質問者】
杉原毅彦 東京都健康長寿医療センター 膠原病・リウマチ科部長
【注意点を必ず守り,使用可能な薬剤で寛解状態を維持】
関節リウマチならびに関節型若年性特発性関節炎の合併妊娠に関して,以下に記載します。
患者が妊娠するためには,妊娠中使用可能な薬剤でコントロールされていることが必要であり,寛解状態を維持していることが望ましいです。メトトレキサート(MTX)は流産率を上昇させるとともに催奇形性を有しているため,1カ月以上の休薬が必要です。この期間中は避妊を指示します。また,寛解状態にあれば影響はありませんが疾患活動性に相関して妊孕性の低下と妊娠成立までの期間の延長が報告されています。妊娠期間中に活動性が高い場合,胎児発育遅延や早産率が上がるとの報告もあります。
妊娠中使用可能な疾患修飾性抗リウマチ薬(disease modifying antirheumatic drugs:DMARDs)としてはサラゾスルファピリジン(SA SP),タクロリムス(TAC),TNF阻害薬があり,TNF阻害薬の中ではエタネルセプト,セルトリズマブペゴルでは胎盤移行性が低いことが報告されています。妊娠全期間で使用可能ですが,後期までTNF阻害薬を使用している場合は新生児の生ワクチン接種を半年待つようにとの指導が必要です。なお,全身型若年性特発性関節炎ではTNF阻害薬ではなくトシリズマブの投与が検討されますが,トシリズマブに関しての妊娠中の使用報告は現時点では限られたものしかありません。
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