慢性尿細管間質性腎炎は,尿細管間質の慢性炎症と修復を繰り返すことで組織の線維化をきたし,緩徐ながら不可逆的な腎機能低下を示す。急性尿細管間質性腎炎から移行することもあるが,潜在的に進行して,急性期が不明の慢性尿細管間質性腎炎も存在する。病理組織学的には間質線維化,尿細管の萎縮などの慢性変化を主体とするが,慢性でも炎症性細胞の浸潤を認めるため,臨床経過と併せて診断される。また,糸球体の虚血性変化やボーマン囊の肥厚などを認め,腎不全例では糸球体にも硬化,硝子化を合併しており,病理学的に糸球体病変による二次性尿細管間質性腎炎との鑑別が困難な場合もある。急性尿細管間質性腎炎と同じく臨床症状に乏しいため,しばしば診断・治療に遅れをきたすことがある。
慢性の経過をたどり,腎障害が進行するまでは臨床症状に乏しいことが多い。薬剤過敏性急性尿細管間質性腎炎にみられるような全身性のアレルギー症状をきたすことは稀である。検査所見では蛋白尿は1g/日以下が多く,尿中β2-ミクログロブリン,α1-ミクログロブリンなどの尿細管再吸収マーカーの高値を認めるが,尿細管細胞崩壊時に出現するN-アセチルグルコサミニダーゼは陰性となることも多い。
尿細管は近位,遠位ともに障害されることが多く,尿細管アシドーシスが近位型,遠位型同時に発症することが多い。また,低カリウム血症,アミノ酸尿,糖尿がみられることもある。尿濃縮障害を伴った場合,多尿,夜間頻尿,口渇などの症状を認める。画像所見では両側腎の萎縮と表面不整,皮髄境界不明瞭がみられる。進行例では慢性腎不全による尿毒症症状を呈する。
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