間質性膀胱炎(interstitial cystitis:IC)は,頻尿・尿意亢進・尿意切迫感・膀胱痛・骨盤痛などの症状症候群を呈する慢性疾患であり,膀胱粘膜にハンナ(Hunner)病変(潰瘍)を有するタイプ(Hunner type IC:HIC)と,有さないタイプ(膀胱痛症候群:IC/bladder pain syndrome:IC/BPS)とでは病態が異なる。HICは経尿道的切除や焼灼術が有効で,免疫抑制薬のシクロスポリンAが有効である。厳密にはIC/BPSからHICへの移行がみられない。罹患率は約1%と稀な疾患で,女性は男性の約5倍である。
日本間質性膀胱炎研究会による診断基準は,以下の3点がポイントである。
①患者の自覚症状:頻尿,尿意切迫感,疼痛(膀胱,骨盤,会陰)
②膀胱鏡所見:膀胱拡張に伴う粘膜からの出血(点状出血,五月雨状出血),粘膜病変(滝状出血,肉柱形成ではない瘢痕,粘膜の引きつれ等)
③除外診断:同様の症状を呈する尿路感染症,膀胱・尿道結石症,過活動膀胱,膀胱癌(特に上皮内癌)などの疾患の否定
なお,米国の症例集積研究(Interstitial Cystitis Data Base:ICDB)の基準では,症状だけで膀胱鏡所見を必要としていない。
自覚症状の聴取から鑑別疾患の否定を行う。除外診断より間質性膀胱炎が疑わしい場合,膀胱粘膜の生検(上皮内癌の組織学的否定)を兼ねて,治療ともなる麻酔下での膀胱水圧拡張術を行って最終診断を行っている。
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