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■NEWS 「救急医療管理加算」の対象患者要件見直しを議論─中医協・総会

No.4985 (2019年11月09日発行) P.69

登録日: 2019-10-28

最終更新日: 2019-10-28

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中央社会保険医療協議会・総会は1025日、救急医療や治療と仕事の両立支援、業務の効率化・合理化などについて議論した。このうち救急医療で厚生労働省は、2次救急医療機関などが算定する「救急医療管理加算12」の対象患者要件の見直しを論点として提示。診療側は、現行の「加算1」の要件は3次救急と同等の設定になっているとして、2次救急の実態に合わせた見直しを強く要請した。

「加算1」の対象患者は現在、意識障害・昏睡、呼吸不全・心不全で重篤な状態、広範囲熱傷など、9つの状態(ア〜ケ)のいずれかに、「加算2」はこれに準ずる重篤な状態に該当し、かつ医師が緊急入院が必要と認めた場合と定められている。特に「加算2」ついては、従来から要件の曖昧さを指摘する意見があり、厚労省のデータによると、加算12を合わせた全体の算定回数は14年以降横ばい傾向にあるが、加算2の構成比は年々上昇。また、「加算1」の要件も、「意識障害・昏睡」で算定対象になった症例に占めるJCSスコア0(意識清明)の割合が16%弱に及ぶなど、重症度が必ずしも高くない患者が一定数含まれる可能性が示唆されている。

2次救急を対象にした新たな点数が必要だ─診療側・島委員

議論では、診療側は、現在の「加算1」の患者要件について、本来はICUなどの3次救急のもので、2次救急の患者の状態には合致していないと問題提起した。島弘志委員(日本病院会副会長)は、「ア〜ケはICUで対応する患者であり、2次救急で診ている患者を対象にした新たな点数が必要だ」と指摘。城森国斗委員(日医常任理事)も、「本来はICUで診る状態だが、3次救急が満床で2次に回ってくるケースがあり、2次で対応せざるを得ないために加算1がついていることを理解してほしい。加算2は、より現実に即した形で適正に評価できる形を構築するべきだ」と話した。支払側は、JCSNYHA心機能分類、Burn Indexなどの重症度指標を組み込むことなどにより、対象患者要件の明確化と適正化を図るべきとの考えを示した。

■「療養・就労両立支援指導料」は診療情報提供時の算定が可能に

治療と仕事の両立支援では、厚労省が「療養・就労両立支援指導料」の抜本的見直しを提案した。同指導料は、がん患者の治療と仕事の両立支援を評価する報酬として、18年度改定時に新設。現在は、主治医が企業に患者の診療情報を提供し、産業医の助言を受けて、治療計画の見直しや再検討をする一連のプロセスを終えるまで、報酬を算定できないが、186月審査分での算定回数は、わずか10回に過ぎない。

このため、厚労省は、治療計画の見直し・再検討を終えるまで算定できないことが原因と判断し、企業に患者の診療情報を提供し、患者に療養上必要な指導をした段階での算定を可能にする見直しを提案。患者が産業医選任義務のない小規模事業場に勤務するケースでも算定できるよう、診療情報の提供先が産業医以外(保健師、衛生管理者、安全衛生推進者など)であっても算定を容認することや、対象疾患に脳血管疾患、肝疾患、難病を追加する方針も打ち出した。

提案に対して診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は、「主治医が対応した時点で算定できる見直しの方向性は評価したい」と賛意を表明。その上で、患者の状況の変化に応じて主治医が情報提供した場合の評価を別途検討することを求めた。支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)は、両立支援プランを作成・共有するまでを算定要件とすべきだとしたが、「プラン作成にかかる時間が問題なのであれば、療養上必要な指導の実施までと、プラン作成・共有の2段階で指導料を分けてはどうか」とも提案した。

一方、業務の効率化・合理化では、事前の取り決めに基づいて薬局から医療機関への疑義解釈の問い合わせを簡素化する厚労省案に、診療側が「療養担当規則で禁じられている特定の薬局への誘導につながる可能性があり、現時点では賛成とは言い難い」(松本委員)と、慎重姿勢を示した。これに対して厚労省は、「事前の取り決めをした薬局の情報を網羅的に提供する場合は違反に当たらない」と説明し、理解を求めたが、受け入れられなかった。

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