厚生労働省が11月13日の中央社会保険医療協議会の調査実施小委員会に報告した、「第22回医療経済実態調査」の結果によると、一般病院全体の2018年度の1施設当たり損益率は▲2.7%で、前年度比で0.3ポイント上昇したものの、依然として赤字であることがわかった。一般診療所全体の損益率は前年度から横ばいとなったが、有床診療所の損益率は前年度比1.9ポイント減と大きく落ち込んだ。今月下旬の総会では、支払・診療側双方が実調査の結果に対する見解を発表する予定。
調査客体の病院、一般診療所、歯科診療所、保険薬局の17年度と18年度の損益状況を分析した。この間の18年4月には1.19%の診療報酬マイナス改定(診療報酬本体:+0.55%、薬価・材料価格▲1.74%)が行われている。
18年度の1施設当たり損益状況をみると、一般病院全体では▲2.7%となり、17年度の▲3.0%から0.3ポイント改善したが、赤字経営から脱するには至っていない。このうち医療法人の損益率は、前年度比0.2ポイント増の2.8%。医業収益は金額ベースで1.3%増加したが、医療・介護費用の約半分を占める給与費がそれを上回って伸びたために(2.0%増)、損益率はわずかな伸びにとどまった。その他の開設主体の損益率は、国立/▲2.3%(前年度比0.2ポイント減)、公立/▲13.2%(0.2ポイント減)、公的/▲0.3%(1.1ポイント増)。医療法人と公的は損益が改善したが、国公立は悪化する結果となった。
精神科病院全体の1施設当たり損益率は0.2%(0.2ポイント減)、国公立を除いた場合は2.6%(0.1ポイント低下)。
一般診療所全体の1施設当たり損益率は、前年度からほぼ横ばいの12.9%(0.1ポイント減)となった。病床の有無別でみると、有床診療所は8.3%(1.9ポイント減)、無床診療所は13.5%(増減なし)で、有床診の損益率の悪化が顕著となった。
保険薬局全体の1施設当たり損益率は5.5%(1.4ポイント減)だった。開設者別の内訳は、個人薬局が9.8%(0.9ポイント減)、法人薬局は5.4%(1.4ポイント減)で、いずれも損益が悪化。同一グループの保険調剤を行なっている店舗数別でみた損益率は、1店舗1.2%(0.7ポイント減)、2〜5店舗2.0%(1.9ポイント減)、6〜19店舗7.2%(1.1ポイント減)、20店舗以上7.6%(1.3ポイント減)─となった。