【質問者】
吉藤 元 京都大学大学院医学研究科内科学講座臨床免疫学講師
【FVCまたはTLCが60%以上の場合,間質性肺炎の有無にかかわらず肺血管拡張薬を使用】
強皮症に伴う肺動脈性肺高血圧症(pulmonary arterial hypertension associated with systemic sclerosis:SSc-PAH)はPHの中でもとりわけ予後不良であることが複数のコホート研究により示されています。その原因のひとつとして間質性肺炎の合併が挙げられます。
間質性肺炎そのものにもPHが伴うため(PH due to lung diseases/Group 3 PH),SSc患者にPHと間質性肺炎の両者が認められた場合には,PHの原因がPAH(Group 1 PH)なのかGroup 3 PHなのかを見きわめる必要があります。なぜなら,Group 1 PHにはエンドセリン受容体拮抗薬やホスホジエステラーゼ5阻害薬などの肺血管拡張薬,とりわけ両者の併用療法(upfront combination therapy)1)が適応となるのに対し,Group 3 PHにはこれらの治療は基本的に禁忌だからです。
しかし,多くのSSc患者においてはGroup 1 PHとGroup 3 PHとが混在していると考えられ,そのため筆者らはGroup 1 dominant PH,Group 3 dominant PHというように分類するほうが適切だと考えています2)。
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