腎尿管結石は尿路結石症全体の90%以上を占め,罹患率は男女とも年々増加傾向にある。2015年の全国疫学調査による年間罹患率は人口10万人対134人,男女比は約2.2:1で男性に多い1)。増加の背景に,生活習慣病との関連が指摘されている。
カルシウムをはじめとした種々の尿中成分を基に,尿pHや結石形成の阻止因子・促進因子が複合的に作用し,結晶形成・成長・凝集・固化等の過程を経て結石が形成される。
尿管結石急性期の主たる症状は疼痛(腎疝痛)と血尿である。痛みは患側の腰背部を中心に,時に下腹部から外陰部へ放散する場合もある。疝痛時には悪心・嘔吐を伴う場合もある。検尿で顕微鏡的血尿がほとんどに認められる。下部尿管結石では膀胱刺激症状がみられることがある。腎結石での疝痛発作は少なく,血尿が多い。
画像検査として全尿路単純X線撮影(kidney ureter bladder:KUB),腹部超音波断層法,排泄性尿路造影,CTが施行される。最も確定診断のエビデンスレベルが高いのが単純CTであり,他の急性腹症との鑑別やX線陰性結石の描出にも有用である。最初のスクリーニングとしては超音波断層法での水腎症や結石陰影の高エコー像が重要な所見である。
症例に応じて血液・生化学検査を行い,尿路感染の合併や腎機能障害の有無などを評価する。
治療としては,急性期の除痛,尿路感染など合併する病態の程度把握と対応,結石除去に関しては保存的治療(排石促進)と積極的治療(手術),そして治療後の再発予防が柱になる。そのほか,水腎症の程度や尿路感染の有無などを考慮して併用する治療を検討する。結石成分が尿酸やシスチンの場合は,溶解療法も選択肢となる。
再発性の比較的高い疾患なので,患者背景や結石成分に応じた再発予防と,原因があればその対応を行う。
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