【経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)後の管理とビタミンK拮抗薬服用中緊急手術時の新しいリバース法まで】
機械弁に対しては,PT-INR 2.0~3.0を目標としたワルファリンコントロールを行い,血栓塞栓症を発症した場合は,PT-INR 2.5~3.5でコントロールを行う。生体弁に対しては,術後3~6カ月は,PT-INR 2.0~3.0を目標としたコントロールを行い,その後は,危険因子がなければワルファリンフリーかアスピリンの少量投与(75~100mg/日)が望ましい。
経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)用生体弁に対しては,低用量アスピリン(81~100mg/日)は継続投与し,チエノピリジン系抗血小板薬またはワルファリン(心房細動などの適応疾患があれば)の1~6カ月併用投与が推奨されている1)。
また,歯科処置に対しては,抗凝固療法や抗血小板薬の中止は必要ない。大きな非心臓手術を実施する患者に対しては,72時間前までにはワルファリンを中止し,PT-INRが1.5以下になったことを確認して手術を行う。PT-INRが2.0以下の期間は,APTTが55~75秒となるようにヘパリン持続点滴を行い,手術開始4~6時間前に投与中止する。術後活動性出血がないことが確認され次第ヘパリンの持続点滴を再開し,ワルファリン再開によりPT-INRが2.0以上となるまでは,ヘパリン投与を続ける。緊急手術の際は,新鮮凍結血漿や乾燥濃縮人プロトロンビン複合体製剤(ケイセントラ®)による凝固系改善を行う。
【文献】
1) Rodés-Cabau J, et al:J Am Coll Cardiol. 2013; 62(25):2349-59.
【解説】
加藤寛城 金沢大学先進総合外科