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機能低下例の腎生検実施の判断基準設定は?

No.5031 (2020年09月26日発行) P.51

菅野義彦 (東京医科大学腎臓内科学分野主任教授)

後藤 眞  (新潟大学大学院医歯学総合研究科腎研究センター腎・膠原病内科学分野准教授)

登録日: 2020-09-25

最終更新日: 2020-09-23

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  • コレステロール血栓症やアミロイドーシス,多発性骨髄腫など,腎生検が診断の決め手になるのに腎機能が低下(血清クレアチニン4mg/dL程度)している場合,尿蛋白陰性のIgA腎症疑い男性,臨床的に明らかな微小変化群,糖尿病性腎症でのネフローゼ症候群,85歳以上のネフローゼ症候群など実施を迷うことがありますが,どのように判断基準を設定されていますか。
    新潟大学・後藤 眞先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    菅野義彦 東京医科大学腎臓内科学分野主任教授


    【回答】

    【腎機能低下の臨床経過と画像診断から腎生検の適応を判断する】

    腎生検は,病理所見から腎臓病の診断・病態整理・予後の推定および治療方針の決定に有用な情報を提供できる検査方法です。しかし,腎臓は血管が豊富な臓器であることから合併症として出血の危険性は常に伴います。腎臓病の様々な病態を慎重に考慮し,腎生検の適応を判断する必要があります。

    腎生検は一般的に腎機能が良好に保たれている症例に行われますが,急速に腎機能が低下し,画像診断で腎萎縮が認められない場合は腎生検の実施が考慮されます。その際,血清・生化学検査や検尿所見を十分に評価して原因疾患を推定しますが,アミロイドーシスなどの全身性疾患では凝固障害から腎生検後の出血合併症を伴うことがあり,細心の注意が求められます。

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