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【医学部受験の耳より情報[1]】30年ぶりの大学入試改革 医学部志願者にとっての共通テストとは?(日本医事新報特別付録 医学部進学ガイド「医学部への道2022」)

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山本雄三 (メディカルラボ情報研究所 所長)

登録日: 2021-02-18

最終更新日: 2021-02-18

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“大学入試改革”の目玉に位置づけられている「大学入学共通テスト」が1月16日と17日の両日にかけ、初めて実施された(第1日程)。大学入試センター試験の後継にあたる試験だが、医学部志願者にはどのような対策が必要なのだろうか。医学部受験における情報分析のスペシャリストであるメディカルラボ情報研究所の山本雄三所長が解説する。(日本医事新報特別付録・医学部進学ガイド「医学部への道2022」の全文はこちらから無料でダウンロードできます)

初めて実施された大学入学共通テスト(以下、共通テスト)が終了しました。

大学入試センター試験(以下、センター試験)は、約30年振りに実施された「大学入試改革」の一環として、共通テストへと変更されたわけですが、受験生にとっては大変波乱含みだったと言えます。

まず2019年冬に、共通テストの目玉であった英語民間試験の活用と国語・数学の記述式問題の導入が延期されました。さらに、昨年1月から続く新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、高校や予備校などが臨時休校を余儀なくされ、授業進度に支障が出ました。このような未曽有の状況下でも、予定通り共通テストは実施されました。

センター試験との違いは応用力の評価

さて、共通テストとはどのような試験なのか、センター試験と比較をしながらお話しします。両者の違いを簡単に表1にまとめました。

 

この表だけを見ると、「求められる力」以外は大きな違いはないように思えますが、この「求められる力」がとても大切です。昨年までのセンター試験は「知識・技能」、すなわち基礎学力中心の評価でしたが、共通テストはこれに加えて「思考力・判断力・表現力」、つまり応用力も評価の対象となります。

文科省のWEBサイトには、センター試験は「大学に入学を志願する者の高等学校段階における基礎的な学習の達成の程度を判定することを主たる目的とする」、共通テストは「大学入学希望者を対象に、高等学校段階における基礎的な学習の達成の程度を判定し、大学教育を受けるために必要な能力について把握することを目的とする。このため、各教科・科目の特質に応じ、知識・技能を十分有しているかの評価も行いつつ、思考力・判断力・表現力を中心に評価を行うものとする」とそれぞれの目的について説明しています。「思考力・判断力・表現力」は、今までは大学ごとに実施していた個別試験で評価していましたが、共通テストでもこの部分を評価することになりました。

問題の文章量が増加

センター試験の問題は、一定量の過去問演習に取り組んでおけば、本番の試験でも問題文をざっと眺めることでどのような内容か把握できました。一方、共通テストの出題には、センター試験にはなかった以下の特徴があります。

①複数の情報を組み合わせて考える問題
②会話文形式の問題
③日常生活の場面に即した問題
④正解をすべて選ぶ問題
⑤前の問題が次の問題に連動する問題

また、全体的に文章量が増えているので、出題の意図を素早く読み取って解答に必要のない会話部分はさっと読み流すなどの工夫をしないと、時間不足になってしまうおそれがあります。

このような変化の中で、医学部志願者は共通テストでも高得点を求められます。個別試験の対策で求められる「応用力」を中心とした対策を行うことが、共通テストの対策にもつながるわけですが、これから数年は過去問が少ないために十分な共通テスト演習を効率よく行えないかもしれません。

2021年度の共通テストの結果はどうだったのか

第1回目の共通テストの結果を簡単に解説します。

まず、問題内容は上記で述べた通り「思考力・判断力・表現力」を評価する問題が中心となる構成でした。英語は「スマートフォンを使ったメールのやり取り」、数学は「陸上のストライドとピッチ」が題材になっており、その他の科目も同様に日常生活をテーマとした問題が増えていました。同時に、複数の表や地図、資料などから解答に必要な情報を取捨選択し、判断しなければならない設問も多くありました。そのため、ほぼ全科目で問題文の量が増加しており、速読力と読解力が求められます。初回実施ということもあり、センター試験の評価基準である「知識・技能」を試す問題も多く出題されていました。

各科目の平均点は表2の通りです。多くの医学部受験生は、共通テストで5教科7科目(900点満点)を受験します。大手予備校の予想平均点は、データネット実行委員会(ベネッセ・駿台共催)が572点(64%)で、河合塾が569点(63%)と、両予備校ともに昨年のセンター試験よりも13点以上も高くなりました。事前の予想では平均点は大きく下がると考えられていたので意外な結果となりました。肝心の医学部については、多くの大学で昨年よりもボーダーラインが下がりました。これは医学部が射程圏内となる得点率80%以上の高得点層の受験生が、軒並み得点できていないからです。一方で、従来60%以下の得点層になるはずの受験生も減り、結果的に60~80%の得点層が増加したことが原因です。

ただし、二次試験では従来通りの実力が試されるので、大学ごとの出題傾向を踏まえしっかり対策しましょう。

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