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【医学部受験の耳より情報[2]】父親世代とは様変わり 医学部受験対策の心得(日本医事新報特別付録 医学部進学ガイド「医学部への道2022」)

P.17

村田洋一 (医学部予備校GHS 塾長)

登録日: 2021-02-18

最終更新日: 2021-02-18

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ここ15年で医学部入試は難化し、父親世代の経験則は通用しなくなっている。受験勉強の内容も変化しており、アップデートが必要だ。具体的にどのような受験対策が必要なのか。医学部予備校GHSの村田洋一塾長に聞いた。(日本医事新報特別付録・医学部進学ガイド「医学部への道2022」の全文はこちらから無料でダウンロードできます)

─私大医学部の入試は以前とは大きく様変わりしたそうですね。

村田 国公立大学はもとより、私立大学がかなり難しくなりました。医学部受験生のレベルが上がり、層が厚くなったということですから、それに合わせて入試問題自体が難しくなってきたというのが重大な変化です。

─受験勉強の仕方そのものも変わっていかなければならないことになりますね。

村田 この点を私大医学部の受験生と保護者の方々は理解する必要があります。勉強の方法をしっかり問い直さなければならないということです。しかし『勉強の方法』を説くにもレベルがあります。最も浅薄なレベルは「1日12時間勉強しよう!」の類です。失礼ながら昔はこれでも立派な「学習方法」で、予備校によっては「寮に缶詰めにして朝から晩まで○○時間勉強させます!」を売りにできた時代がありました。もちろん今はダメです。

また、一見よさそうに思える「学習方法」のスローガンに「まず基本を学んで基礎力をつけてから、応用力を養おう」「習ったことを繰り返し反復することが大事です」という類のものがあります。言葉としては響きがいいし、正しいことを言っているわけですが、中身が何もないということにお気づきでしょうか。親の時代に東大・京大を受けていた有名進学高校の優秀な受験生が国公立大学の医学部をこぞって受験し、その一部が私大医学部受験にも流れ込んでいるのが今の時代です。そこに「反復が大事です!」では…。

─どういう受験勉強をすればよいのでしょうか。

村田 保護者の方には、一度現在の医学部の入試問題を、眺める程度でよいですので、全科目見てみることをお勧めします。こうした問題を解けるようにするためには、まず指導者が本当の意味でその科目の全体像を理解していて、受験生に今の入試問題が解ける実力をつけさせるためには、何をどう理解させ、どうすることでどういう学力がついていくかを体系的に分かっている必要があります。

数学で言えば、関数の最初に二次関数をやります。二次関数を教えるということは二次関数だけはなく、二次関数を通して関数や数学一般を教えることでもあり、それはまた数学以外の教科にも通じる普遍的な思考力を養成することでもあります。

─どうもよく分かりませんが…。

村田 指導の中身を一般の方々に分かってもらうのは難しいです。しかし、専門的な中身は分からないながら、その先生が正しいことを言っている、中身のある先生だな、ということはある程度推察できるものです。同じように予備校から送られてくる資料で中身のあるなしを感じ取ることはできるはずです。

─判断の目安となるものはないでしょうか。

村田 一番注目すべきは、出身者の合格体験記です。合格体験記(本人が書いているかどうか見極めることも現代社会に必要な眼力です)は、何をどう学んでどういう学力がついたのか本人の学力がそのまま表れます。読み比べてみると、どういう指導を受けてきたが分かって参考になるはずです。

─合格していれば、学力がついたということではないですか?

村田 残念ながら受験指導では、受験でしか通用しない学力をつけてしまうということが起こるのです。入試問題には問題のパターンがある程度あって、特に中位以下の私立ではいわばパターン認識の訓練で合格してしまうことがあります。合格はめでたいのですが、そういう頭を創ってしまうと後が大変です。膨大な医学の知識に対応できないとか、国試にスムーズに合格できないというその先の問題が、特に医学部の先生方から声として届いています。受験勉強でアタマをスポイルさせない指導、その先の勉学につながる学習方法という観点も、受験指導の責任ではないでしょうか。

─そこまで見据えるのが若者を育てるということなのですね。ありがとうございました。

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