新型コロナウイルスの影響で学習の仕方も大きく変容した。感染リスクを軽減するため多くの予備校がオンライン授業を導入し、1つの潮流になりつつある。オンライン授業を効率的に活用するために保護者が知っておきたいポイントを、東大螢雪会の土井貴志教務部長が解説する。(日本医事新報特別付録・医学部進学ガイド「医学部への道2022」の全文はこちらから無料でダウンロードできます)
2020年は新型コロナウイルス感染症の流行により個別指導の実施形態が大きく変化しました。東大螢雪会では、個別指導用の教室での対面指導、生徒宅での対面指導、オンライン指導という3つの形態で指導を実践しています。これまでは圧倒的に教室での指導が多かったのですが、20年4月の緊急事態宣言以降、ZOOMなどを活用したオンライン指導が急増しました。
ウイルスの終息が当面期待できない現状では、オンライン授業を有効に活用することが受験勉強におけるポイントの1つになるでしょう。
オンライン授業を受けるには、パソコンやタブレット型端末のいずれかを所有しているのはもちろんのこと、家庭内にWi-Fiなどのインターネット環境があること、また無制限か十分な通信容量のSIMカードを持っていることが必須と言えます。また、プリンター、特にスキャン機能付きプリンターがあると便利です。ヘッドセットや液晶ペンタブレットも使えるとより効果的です。
今の生徒の多くはITリテラシーが軒並み高いですが、オンライン授業を受けるにはパソコン等について最低限の操作スキルが求められます。ZOOMなどのアプリを使用できなければならないのは言うまでもありませんが、講師からPDFファイルなどで送られてくる宿題をプリントアウトしたり、自分が解いた宿題をスキャンして講師に送ったりすることも必要になります。
また、フォルダを作成する、ファイル名を変更するといった操作もできるようになっておくとよいでしょう。例えば、ZOOMではホワイトボード上に講師が書いたものをそのままパソコンに保存することができます。ただし、その際のファイル名は無作為に決まるものなので、保存されたファイルの数が多くなってしまうと、後で見たいと思った時にそのファイルを見つけるのに相当時間がかかってしまいかねません。そのため、①科目ごとにフォルダを作成、②保存したファイルを後で見つけやすいような名前に変更、③名前を変更したファイルを当該のフォルダに保存、ということをしておけば、見つける手間が省け、講義内容をすぐに活用できるようになります。
当然ながら教える側の講師にも生徒に求められるのと同様に一定のスキルが求められます。例えばヤングの干渉実験のYouTube動画を画面共有して一緒に見てから解説を行うといったことをすれば、より生徒の理解が深まり、オンライン授業のデメリットをカバーすることも可能になります。
2021年に入って再び緊急事態宣言が発出されました。先のことは誰にもわかりませんが、感染に気をつけながら受験勉強に臨まなくてはならない状況が当面続くことは確実です。感染防止の観点から人との距離を取らざるを得ず、近い距離で友人と話をしたりふざけあったりすることはできません。そうなると受験生は孤独感を抱き、一人で大学受験に立ち向かっていると思い込んでしまうかもしれません。
受験生の支えになるのは、月並みではありますが家族です。2020年もそうであったように、家族の絆がこれほど必要となる時はないのではないでしょうか。