巣状分節性糸球体硬化症は,いくつかの糸球体の何個かに(巣状),糸球体の一部分に(分節性),硬化を起こす病理組織学所見の疾患概念である。ウイルス性,薬剤性,構造的・機能的な適応反応(肥満,動脈硬化,片腎など)といった二次性が多いので,鑑別が重要となる。一次性には液性因子(CLCF-1,suPAR,CD40など)の可能性が示唆されているが,遺伝的要因の可能性も含み,病因は混在していると考えられている。
二次性を除外することが重要である。一次性は若年が多く,急性発症の大量蛋白尿などの臨床情報が一次性を最も考えるポイントとなる。
巣状分節性糸球体硬化症であるからといって画一的な治療をするのではなく,病因によって治療をすることが重要である。病理分類であるコロンビア分類で様々な亜型が示されている。亜型によって予後の差を示す報告もあるが,亜型が同一症例で変化している報告や予後がよいとされた亜型(tip variant)などが他のvariantと変わらないなどの報告もあり,亜型での治療方針は考慮に入れがたいと考えている。
1g/日未満の軽度の蛋白尿の症例は治療の方針とせず,RAS阻害薬の使用検討を行い,経過をみる方向性がよい。
ネフローゼ域の蛋白尿(3.5g/日)に近い量の蛋白尿が出現している際に,免疫抑制薬による治療を検討する。
一次性と考えられている症例には遺伝子異常が混在し,治療としては難治となる可能性も含まれる。遺伝子異常の場合でも一部免疫抑制薬の治療効果を認めている報告もあり,遺伝子異常が絶対的に治療不適応というわけではない。4週間のステロイド治療でもまったく反応を示さない抵抗性には遺伝子検査を検討すべきという海外の報告がある。過剰な免疫抑制薬投与とならないためにも,ステロイド抵抗性の際は遺伝子検査を検討すべきである。
残り1,782文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する