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膜性増殖性糸球体腎炎[私の治療]

No.5072 (2021年07月10日発行) P.38

石本卓嗣 (名古屋大学医学部附属病院腎臓内科講師)

登録日: 2021-07-08

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  • 膜性増殖性糸球体腎炎(membranoproliferative glomerulonephritis:MPGN)は,腎糸球体係蹄壁の肥厚(基底膜二重化)と分葉状の細胞増殖病変といった特徴的な組織病理像を呈する糸球体腎炎であるが,近年,病因論的観点からの再分類がなされてきている。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    血尿・蛋白尿などの腎炎様の尿検査異常を認める。ネフローゼ症候群や急速進行性糸球体腎炎を呈して浮腫・尿量低下・進行性の腎機能障害などをきたす症例もある。

    【検査所見】

    上記の尿検査異常・腎機能障害に加え,低補体血症(特にC3低値)を伴うことが多いとされるが,成人においては必ずしも補体低下を伴わない場合も多い。MPGNの診断には腎生検が必須となる。

    【形態学的分類】

    腎組織の光学顕微鏡所見・免疫蛍光所見・電子顕微鏡所見による形態学的な観点からⅠ型,Ⅱ型,Ⅲ型に分類されてきた。

    MPGN Ⅰ型:腎糸球体内皮下およびメサンギウム領域に高電子密度沈着物を認める。
    MPGN Ⅱ型:DDD(dense deposit disease)と呼ばれてきた病型。糸球体基底膜内に帯状やソーセージ様の高電子密度沈着物を認める。
    MPGN Ⅲ型:糸球体内皮下および上皮下に高電子密度沈着物を認めるBurkholder型と,上皮下沈着物および糸球体基底膜の断裂や層状化を認めるStrife and Andres型に分類される。

    【新たな分類】

    MPGNには一次性および二次性のものがある。後者は感染症・自己免疫性疾患・単クローン性γグロブリン血症〔多発性骨髄腫,リンパ増殖性疾患,monoclonal gammopathy of renal significance(proliferative glomerulonephritis with monoclonal IgG deposits:PGNMID)など〕等を基礎疾患とし,腎生検においてC3とともに免疫グロブリンやC1qが陽性となる免疫複合体関連の疾患群であり,形態学的にはMPGN Ⅰ型・Ⅲ型を呈する。また,明らかな原因が特定できない一次性の免疫複合体関連MPGN例も存在するが,その頻度は稀となっていることから,免疫複合体関連一次性MPGNは存在しないとの意見もある。

    一方,一次性MPGNの病態として,主に補体経路(特に補体第2経路)の制御異常により免疫複合体の関与なしに補体の持続的活性化が起こることでその病態が形成されるC3腎症という新たな疾患概念が提唱された。C3腎症は,腎生検においてC3単独陽性(もしくはC3優勢)を示し,形態学的にMPGN Ⅱ型を呈するDDDと,Ⅰ型・Ⅲ型を呈するC3腎炎に分類される。C3 nephritic factor(C3NeF)の出現や,H因子やH因子関連蛋白の異常,B因子に対する抗体などが報告されている。しかし,C3腎症においても軽度免疫グロブリン陽性となる例が存在し,経時的にその免疫グロブリン沈着が消失する例がみられることや,C3腎症において形態学的にMPGNの特徴を示さない例がみられること,逆に免疫複合体性MPGNにおいても補体制御異常を認める例がみられるなど,いまだ決着のつかない問題点が存在する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    MPGNは多彩な基礎疾患や病態を背景としており,その原因により治療は異なる。共通して食事指導(減塩),補助療法/支持療法〔血圧管理(特にRA系阻害薬による),脂質異常症管理,浮腫や尿量低下に対する利尿薬の投与(高度のネフローゼ症候群ではアルブミン製剤の併用も考慮)〕を行いつつ,原因に応じた治療を行う。

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