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シェーグレン症候群(SS)で腎障害を疑うポイントは?

No.5225 (2024年06月15日発行) P.49

長澤 将 (東北大学病院腎臓・高血圧内科講師)

鈴木康倫 (福井赤十字病院腎臓・泌尿器科副部長/膠原病内科)

登録日: 2024-06-14

最終更新日: 2024-06-11

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  • シェーグレン症候群(Sjögren’s syndrome:SS)は,様々な形の腎障害を起こすことが知られています。実際に,SSではどの程度に腎障害が生じるのでしょうか。また,病型別の頻度などをふまえて,どのような腎障害をみたらSSを疑ってほしいのか(他の症状や臨床データとの関係があるのか),についてご教示下さい。
    福井赤十字病院・鈴木康倫先生にご解説をお願いします。

    【質問者】長澤 将 東北大学病院腎臓・高血圧内科講師


    【回答】

    【反対に,軽微な腎障害からSSを見出してこそ腎臓専門医と言える】

    SSと腎臓専門医の関わりは,①既にSSと診断されている症例に腎障害を見出す,②腎障害からSSを診断する,の2つに分かれます。以下それぞれについて論じますが,後者のように乾燥症状以外の臓器病変からSSを診断することこそ腎臓専門医に求められる力だと思います。

    (1)既にSSと診断されている症例に腎障害を 見出す方法

    日本人データを含む世界最大のコホートであるSjögren Big Data Projectによれば,SS 1万2753例のうち疾患活動性指標であるESSDAI〔the European League Against Rheumatism(EULAR) Sjögren’s syndrome disease activity index〕で定義された腎障害を有していたのは513例(4.2%)でした1)

    具体的には,尿細管間質性腎炎,尿細管性アシドーシス,糸球体腎炎です。SSに伴う腎障害の2/3を占める間質性腎炎は腎障害・検尿異常ともに軽度のことが多く,診断確定には腎生検を要します。ただし,SSに伴う腎障害は一般的に末期腎不全に至るリスクは低く2),Cr値を慎重にフォローしながら腎生検を行わずに無治療で経過を診ている自験例もあります。

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