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「地域医療連携推進法人制度」案を どう読むか? [深層を読む・真相を解く(41)]

No.4743 (2015年03月21日発行) P.17

二木 立 (日本福祉大学学長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-09

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  • 厚生労働省の「医療法人の事業展開等に関する検討会」(以下、「検討会」)は2月9日、「地域医療連携推進法人制度(仮称)の創設及び医療法人制度の見直しについて」の「取りまとめ」を行いました。これは2月18日の社会保障審議会医療部会でも示され、多くの委員から疑問が出されましたが、事務局は了承されたとの認識を示し、通常国会に医療法改正案を提出する予定です。

    本稿では、「地域医療連携推進法人制度(仮称)」(以下、非営利新型法人)に絞って検討します。結論的には、この法人は当面はほとんど普及しないと思いますが、「取りまとめ」には将来的な医療の営利産業化につながる火種が残っています。

    地域医療連携推進法人に至る議論の迷走

    非営利新型法人検討の出発点は、昨年6月の閣議決定「『日本再興戦略』改訂2014」が「複数の医療法人や社会福祉法人等を社員総会等を通じて統括し、一体的な経営を可能とする『非営利ホールディングカンパニー型法人制度(仮称)』を創設する」としたことです。

    ただし「検討会」は、この閣議決定に先立ち、2013年12月4日(第3回)から「非営利ホールディングカンパニー型法人制度」の検討を始めました。しかし、本連載㊳(本誌2014年11月15日号)で指摘したように、産業競争力会議や松山幸弘氏等の提唱した、米国型の「医療産業集積の核となりうるメガ非営利事業体(IHN)」は早々と否定されました。

    その結果、第4回以降は、「社会保障制度改革国民会議報告書」(2013年8月)が「地域における医療・介護サービスのネットワーク化を図る」ための制度の見直し策の1例として提起した「非営利ホールディングカンパニー」の具体化が検討されました。

    しかし、第6回検討会(昨年9月10日)では、田中滋座長自らが「非営利ホールディングカンパニー」という名称への「違和感」を表明したため、第7回検討会(昨年10月10日)で厚生労働省は名称を「非営利新型法人制度」(仮称)に変えるとともに、これの設立の趣旨が「地域包括ケアをさらに進めるため」であると明言しました。その後、新型法人の名称として「地域連携型医療法人」(厚生労働省)と「統括医療法人」(日本医師会)が提案されましたが、最終的に「地域医療連携推進法人制度」にまとまりました。ただし、非営利新型法人の創設の趣旨は、「地域包括ケアをさらに進めるため」から「地域医療構想を達成するための一つの選択肢」に変わりました。

    厚生労働省の検討会等で、議論がこれほど迷走し続けたのは極めて稀です。

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