田村憲久厚生労働相と小池百合子東京都知事は8月23日、新型コロナ感染症について厚労省内で意見交換し、 自宅療養者数・重症者数の急増に対応するため、都内のすべての医療機関などに対し感染症法に基づく協力要請を行うことを決めた。
都内の医療機関、医学部を設置する大学、看護師等学校養成所に対し厚労相と都知事の連名で出された同日付の通知では、入院重点医療機関等(新型コロナ感染症入院重点医療機関、新型コロナ感染症患者の入院を受け入れている病院、回復期支援病院)に対し①最大確保病床における最大限の入院患者受け入れ、②さらなる病床確保、③都が要請した施設への人材派遣─のうち1つ以上の協力を求め、それ以外の病院に対しては、都が要請した施設の運営などの協力を要請。
診療所に対しても①新型コロナ感染症患者への在宅医療や検査、診断、②都が要請した施設への人材派遣、③区市町村のワクチン接種等への協力─のうち1つ以上の協力を求めている(下表参照)。
回答期限は8月31日まで。要請に基づく必要な経費については都から別途連絡するとしている。
通知では、感染の急拡大で東京都の医療提供体制は「災害レベルの非常事態」が続いているとし、今回の協力要請は、現在の感染状況に「総力戦」で臨むため「不急の入院・手術の延期など通常医療の制限等も視野に入れた」ものだと説明。
感染症法の規定により、正当な理由なく協力要請に応じなかったときは「勧告」に切り替える場合があるとし、勧告にも従わなかったときは医療機関名の公表を行う可能性があることを明記している。
23日の意見交換後、小池都知事とともに記者団の取材に応じた田村厚労相は「中等症Ⅱ(呼吸不全あり)以上の方々もなかなか入院できない状況がある。この厳しい状況を乗り切るために、さらなるお力添えをいただきたい」と都内の医療関係者に呼びかけた。
【関連情報】
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第16条の2第1項に基づく協力の要請について(8月23日付厚生労働大臣・東京都知事連名通知)