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CKD-MBD (慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常)[私の治療]

No.5081 (2021年09月11日発行) P.36

鈴木洋通 (たむら記念病院病院長)

登録日: 2021-09-11

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  • 従来慢性腎不全と称されていた疾患群が慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)に,また腎性骨異栄養症と言われていたものを含めてchronic kidney disease-mineral and bone disorder(CKD-MBD)とされるようになった。これは血管病変なども幅広く含め,これらを介して生命予後に重大な影響を与えることより導入された概念である。
    CKD-MBDの治療の根本はCKDの治療にあるのは言うまでもないが,CKD-MBDでは特にリン・カルシウム代謝を中心に様々な病態が変化していくことから,それに対する治療介入が必要とされる。CKDは現在,推算糸球体濾過量(estimated glomerular filtration rate:eGFR)により分類されている。その大きな分岐点はCKD5までとCKD5Dで,透析を行っているか否かである。したがって,治療介入も透析,非透析で異なってくる。

    ▶ 診断のポイント

    通常は無症状と言っても過言ではない。むしろ無症状のときからしっかりとした対策が必要である。一般的には血清リン濃度,血清カルシウム濃度,それに副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone:PTH)値により診断する。さらに,骨代謝をみる目的で骨分画(alkaline phosphatase),骨密度(二重エネルギーX線吸収測定法,dual-energy X-ray absorptiometry:DXA),骨生検も時に用いる。

    ▶ 私の治療方針・処方の組み立て方

    基本に置いているのは血清リン値である。血清リン値が6mg/dLを数カ月にわたり超えるときである。

    ▶ 治療の実際

    一般にはCKD3以上では蛋白摂取制限が行われており,リンのほとんどは蛋白由来であることを考慮すると,食事制限のみでリンのコントロールを行うことは実際にはかなり難しい。食事療法を行う際の留意点として動物性蛋白由来のリンは80~100%吸収されるが,植物性蛋白由来のリンは20~40%の吸収にとどまること,加工されたコーヒーにはリンが比較的多く含まれること,などがある。

    一手目 :ホスレノール®顆粒,OD錠,チュアブル錠(炭酸ランタン)1回250mg1日3回(毎食直後)
    剤形は個人の好みに合わせて選択

    1カ月ごとに血清リン濃度,血清カルシウム濃度をチェックする。PTHは3カ月に1回の測定で十分である。炭酸ランタンの添付文書では2250mg/日まで増量が可能であるが,血清リン値をみながら1500mg/日まで増量する。炭酸ランタンをきちんと服用しているか否かは,胸部X線撮影時に同時に腹部単純X線を撮ることで炭酸ランタンの白い影で確認が可能である。

    二手目 :〈一手目に追加〉キックリン®顆粒,カプセル(ビキサロマー)1500mg/日(毎食直前)から開始し,7500mg/日まで増量可
    剤形は個人の好みに合わせて選択

    リン吸着薬には遊離イオン型〔炭酸ランタン(ホスレノール®),沈降炭酸カルシウム(カルタン®),クエン酸第二鉄(リオナ®)〕と非遊離型〔セベラマー塩酸塩(レナジェル®,フォスブロック®),スクロオキシ水酸化鉄(ピートル®),ビキサロマー(キックリン®)〕がある。筆者は炭酸ランタンで始めるので,次に選択するのは非遊離型の中から選択している。セベラマー塩酸塩は透析患者のみであることから,食直前服用のビキサロマーあるいはスクロオキシ水酸化鉄を選択する。スクロオキシ水酸化鉄は鉄を含有していることより貧血の治療にも役立つとされるが,便が黒色になることもあり,通常はビキサロマーを選択する。両薬剤ともに便秘などの症状を伴うこと,炭酸ランタンではニューキノロンやテトラサイクリンとの併用,ビキサロマーではアンジオテンシン受容体拮抗薬との併用で血圧の変動に注意を払う。以上で最大用量を用いても血清リン濃度が十分に下降しないときには服薬の時間(食直後,食直前)のチェック,食事(朝,昼,晩)内容などを検討する。

    上記のように,血清リン濃度が正常範囲になったときに血清カルシウム濃度に注目する。

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