【質問者】
江藤正俊 九州大学大学院医学研究院泌尿器科学分野 教授
【転移性尿路上皮癌の三次治療として期待が持たれている】
現在,転移性尿路上皮癌に対する一次治療としてシスプラチン・ベースの全身化学療法が強く推奨されています。そして一次化学療法後に再発または進行した場合は,二次治療としてペムブロリズマブが選択されます。さらに2021年2月以降,一次化学療法後に疾患進行が認められない場合には,維持療法としてアベルマブの使用が可能となりました。しかし,転移性尿路上皮癌に対する三次治療はいまだ存在せず,新たなタイプの薬物治療の開発が切望されていました。そのひとつに抗体-薬物複合体(antibody-drug conjugate:ADC)があります。
enfortumab vedotinは,細胞間の接着に関連するネクチン-4を標的としたADCの一種です。ネクチン-4は尿路上皮癌細胞に高発現しています。enfortumab vedotinは,このネクチン-4を介してがん細胞内に取り込まれ,殺細胞効果を有するmonomethyl auristatin Eを放出することで,がん細胞を死滅に導くと考えられています。
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