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馬蹄腎[私の治療]

No.5087 (2021年10月23日発行) P.49

土肥洋一郎 (香川大学医学部泌尿器・副腎・腎移植外科)

杉元幹史 (香川大学医学部泌尿器・副腎・腎移植外科教授)

登録日: 2021-10-21

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  • 馬蹄腎(horseshoe kidney)は最もよくみられる腎臓の先天的な腎癒合異常のひとつである。腎臓の一端が癒合し,馬の蹄に似ていることから馬蹄腎と呼ばれる。人口の0.25%,400人に1人,男女比は2:1で男性のほうが多いと報告されている。特定の遺伝的素因は明らかではない。胎生4~6週に左右後腎が回転と上昇する前に,正中を越えて癒合することで発生する。正常であれば第9週までに腎臓は頭側へ移動し成人の位置に達するが,馬蹄腎では癒合部位(峡部:isthmus)が,下腸間膜動脈の基部が上昇の障害となるため,正常な上昇が妨げられる。そのため,峡部は下部腰椎(L3またはL4椎体)の前の下腹部に位置する。馬蹄腎の発生において脊索やsonic hedgehog遺伝子シグナル異常などの関与が報告されており,神経管閉鎖障害において馬蹄腎が多くみられることの分子生物的な説明にもつながると言われている。

    馬蹄腎の95%は腎臓の下極が腹側で癒合する。そのため通常,峡部は腹部大動脈,下大静脈の前面に位置する。馬蹄腎の腎盂,尿管や血管は腹側に位置する。腎杯の数は正常であるが,腎臓の回転異常のため腎盂が腹側を向いている。腎盂尿管移行部は通常よりも高位に存在する。馬蹄腎の血液供給のバリエーションは多彩である。腎動脈が左右1本ずつの場合は30%程度で,複数本の腎動脈が片側あるいは両側の腎臓に供給されることが多い。峡部への血流供給も様々で,腎動脈,腹部大動脈,下腸間膜動脈などから供給を受けている場合もある。馬蹄腎は約30%で他の合併奇形を伴うことがあり,他の先天異常と関連して発見されることが多く,神経管欠損症の3%,ターナー症候群の女性の60%で認めるとの報告もある。また,他の先天的な尿路生殖器異常である重複尿管,停留精巣,尿道下裂,双角子宮,中隔腟,一側多囊腎などを伴うことがある。

    最大の問題は水腎症で,約30%で認める。原因としては,腎盂尿管移行部が高位であること,尿管が峡部の前面を走行すること,腎血管系の異常が多いことが関係している。これに伴い,二次的に腎結石も発生しやすく,尿路結石を20~80%に認める。腎癌との関連の報告はないが,ウィルムス腫瘍は一般人口と比較して1.76~7.93倍の発生頻度と報告されている。腎盂腫瘍の発生頻度も,一般人口と比較して高頻度であり,閉塞や結石による慢性炎症が原因と推察される。

    ▶診断のポイント

    馬蹄腎の50%は無症状で,スクリーニングの超音波検査やCTで偶発的に見つかる。有症状で診断される場合で最も多い症状は,軽い腹痛や腰痛である。これは水腎症や峡部による腹部神経叢の圧迫によって起こる。脊柱を後屈することによって腹痛や吐気・嘔吐が発生し,前屈することにより消失する現象はRovsing徴候と呼ばれる。出生前の超音波検査で馬蹄腎が診断される場合もある。

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