「全身状態が悪い80歳の女性を診てもらいたいのですが……」。先生からこのような紹介のお電話がない日はありません。すぐに快諾できるときはよいのですが、できないときは本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。
当院は、年間搬送台数が約1万台の札幌市にある急性期病院です。搬送されてくるのは119をダイヤルされた市民以外にも、開業医の先生からの患者も少なくありません。私はそこで勤務している卒後13年目の救急医です。紹介電話の向こうには、おそらく自分よりずっと先輩の医師がいます。顔も知らない年下の医師に頭を下げ「お願い」しているあなたです。そんなあなたがどんな気持ちで「お願い」しているか、私はここで一度、想像してみたいと思います。
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