気道・呼吸・循環の管理が必要な症例がある。また,原因として脳の障害以外に,代謝疾患,薬物,内分泌疾患,精神疾患,感染・炎症性疾患等がありうる。治療は診断によりまったく異なる。
意識障害があるため,本人からの病歴聴取が困難な場合がある。家族・同居人,かかりつけであれば自院のカルテ,他院にかかっていたら情報提供,救急車による搬入であれば救急隊からの現場の状況といった様々な手段により,情報収集を行う。服薬歴,既往歴,前駆症状から診断に至る場合もある。最後に,元気であった時間を確定することも大切である。
意識レベルの判定はGlasgow Coma Scale(GCS)やJapan Coma Scale(JCS)といったスコアリングシステムを用いる。麻痺の有無,瞳孔所見(対光反射,瞳孔不同)は最低限確認を行う。興奮する意識障害もある。意識障害の程度が重度である場合は,高濃度酸素投与,モニタリング(ECG,SpO2,非観血的血圧),末梢静脈ルート確保(併せて採血を行い,血糖,電解質,生化学検査等を施行)を行う。モニタリングにより低血圧,低酸素があれば,意識障害の原因となりうるので是正を行う。体温異常での偶発低体温症や熱中症も意識障害となる。瞳孔不同がみられる症例は,脳ヘルニアが切迫していることもあるので,早急な対応が必要であることが多い。片麻痺がある場合は,頭蓋内疾患の可能性が高い。
意識障害症例の気管挿管の適応は,頭部外傷であればGCS 8点以下とされている。筆者は,意識障害の気道管理において,嘔吐時に誤嚥をする可能性がありそうなら気管挿管を考えてよいとしている。
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