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頭痛[私の治療]

No.5235 (2024年08月24日発行) P.42

遠藤智之 (東北医科薬科大学病院救急科診療科長/教授)

登録日: 2024-08-21

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  • 2018年の国際頭痛分類第3版によれば,頭痛(headache)は3つのカテゴリーに分類される。1つ目は「一次性頭痛」であり,片頭痛/緊張型頭痛/三叉神経・自律神経性頭痛/その他である。病型診断と頭痛による支障の重症度に応じて薬物治療を行う。
    2つ目は「二次性頭痛」であり,原因となる一次病態が存在する。具体的には,頭頸部外傷/頭頸部血管障害(くも膜下出血,脳内出血,脳動脈解離など)/非血管性頭蓋内疾患(脳腫瘍,下垂体卒中など)/物質またはその離脱(薬物,一酸化炭素など)/感染症(脳炎,髄膜炎など)/ ホメオスターシス障害/顔面・頸部の構成組織(頭蓋骨・頸・眼・耳・鼻・副鼻腔・歯・口など)の障害/精神疾患,が挙げられる。一次病態に対する治療を行う。
    3つ目は「有痛性脳神経ニューロパチー,他の顔面痛およびその他の頭痛」である。病態に合わせた薬物療法・非薬物療法を選択する。

    ▶病歴聴取のポイント

    詳細な病歴聴取によって鑑別を進める。特に二次性頭痛の中にはくも膜下出血や髄膜炎といった生命・神経学的予後に関わる疾病があり,注意深く診断する。二次性頭痛のレッドフラッグとして「突然発症・新規発症/意識レベル低下を含めた神経脱落症状/痛みや症状の進行/発熱を含む全身症状/外傷後/新生物の既往/50歳以上/頭痛パターンの変化/姿勢による変化/くしゃみ・咳・運動による誘発/乳頭浮腫/妊娠中または産褥期/自律神経症状を伴う眼痛/免疫不全/鎮痛薬使用過多もしくは薬剤新規使用」があり,これらがあれば画像診断を躊躇しない。

    ▶バイタルサイン・身体診察のポイント

    【バイタル】

    意識レベルをJapan Coma ScaleもしくはGlasgow Coma Scaleで評価する。異常高血圧を認める場合は,頭頸部血管障害の可能性が高まる。発熱を認める場合は,髄膜炎・脳炎を疑う。

    くも膜下出血・致死的脳出血では過剰な内因性カテコラミン刺激によって,たこつぼ型心筋症をきたすことがある。本来なら血圧が上昇すべき病態において血圧低下と頻脈を認める場合は,12誘導心電図と心臓超音波で心機能を評価する。

    【身体診察】

    神経学的脱落症状の有無について要領よく診察する。視力・視野,眼位・眼球運動,瞳孔所見,顔面麻痺,聴力,咽頭・舌,髄膜刺激徴候,深部腱反射,病的反射,四肢の麻痺・感覚障害,失調の有無をみていく。

    身体所見としては,眼球結膜充血,眼瞼浮腫,副鼻腔の叩打痛,側頭動脈,血管雑音(眼窩,頸部),心雑音などをみていく。

    WEBコンテンツ「危険な頭痛を見逃さない〜脳血管障害を中心とした鑑別」

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