株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

尿道下裂[私の治療]

No.5098 (2022年01月08日発行) P.41

浅沼 宏 (應義塾大学医学部泌尿器科学教室准教授)

登録日: 2022-01-08

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 尿道下裂は,欧米では男児150~300出生に1人,わが国では約2500出生に1人の発生率と,比較的頻度の高い先天性尿路疾患である1)2)。本疾患は,尿道口の陰囊側への下方偏位と,包皮や尿道海綿体などの形成不全に伴う腹側への陰茎屈曲を呈する。軽度から高度症例まで様々であるが,それぞれ立位排尿や腟内射精障害,性交渉障害の要因となる。成長に伴う自然軽快は見込めないため,外科的治療が必要となる。

    ▶診断のポイント

    出生時に外陰部の形態的特徴から診断は比較的容易である。腹側包皮の形成不全に伴い亀頭は露出し,尿道口は陰囊側へ下方偏位し,腹側への陰茎屈曲を認める。それに加え,高度症例では二分陰囊や前置陰囊を認めることがある。また,高度症例や停留精巣を合併する症例では染色体異常や性腺異常を伴うことがあるため,小児内分泌科医と連携して内分泌学的精査や拡大前立腺小室の評価が必要である。さらに,尿蛋白陽性の症例ではDrash症候群(生殖器異常,腎不全,ウィルムス腫瘍)も念頭に置き精査する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    尿道下裂の治療目的は,尿道口を亀頭先端部に開口させて尿流の良好な立位排尿と腟内射精を可能にし,陰茎屈曲を解消することにより性交渉に支障をきたさないようにすることにある。さらに最近では,正常に近い整容を達成することも求められている。したがって,包皮の形成不全がなく陰茎屈曲を伴わない一部の亀頭型尿道下裂症例を除いて,原則的に手術適応であり,通常,生後6カ月~1歳6カ月程度の間に尿道下裂修復術を行う。また,亀頭・陰茎が未発達な症例(亀頭幅14mm未満)では,術前にテストステロン製剤〔エナルモンデポー注(テストステロンエナント酸エステル)1回25mgを月1回(筋注),2~3回〕を投与して陰部の発達と血流増強を図る。

    残り1,292文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    関連書籍

    関連求人情報

    公立小浜温泉病院

    勤務形態: 常勤
    募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
    勤務地: 長崎県雲仙市

    公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
    現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
    2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
    6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

    当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
    2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
    又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

    ●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
    今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top