【質問者】
井上貴博 三重大学大学院医学系研究科腎泌尿器外科 教授
【めざすべきゴールに最適な特長を有する複合免疫療法のレジメンを選択する】
まず前提として,International Metastatic RCC Database Consortium(IMDC)によるリスク分類,いわゆるIMDCリスク分類において,進行性腎細胞癌の患者が診断時に低・中・高リスクのうちどのカテゴリーに入るのかを知る必要があります。複合免疫療法のうちIO(免疫療法薬)-IO comboであるイピリムマブ+ニボルマブの併用療法はIMDC低リスク患者には使用できないからです。
IMDC低リスク患者に対しては,IO-TKI(チロシンキナーゼ阻害薬)combo(執筆時点ではアベルマブ+アキシチニブ,ペムブロリズマブ+アキシチニブ,ニボルマブ+カボザンチニブのいずれか)が選択可能です。一方,IMDC中・高リスク患者に対してはIO-IO,IO-TKIのいずれの複合免疫療法レジメンも選択可能です。
各comboの使い分けの基準を明確にするデータは存在しませんが,ランダム化比較試験(randomized control trial:RCT)の結果からある程度の特長は見えてきています。
Grade 3以上の免疫関連有害事象(immune-related adverse event:irAE)の頻度の観点からは,アベルマブ+アキシチニブ(9.0%)が最も安全で,次いでペムブロリズマブ+アキシチニブ(13.1%),ニボルマブ+カボザンチニブ(16.3%)で,イピリムマブ+ニボルマブ(26.7%)が最も注意を要するレジメンとなっています。複合免疫療法における薬剤中止率はイピリムマブ+ニボルマブ(22.7%)が最も高く,ニボルマブ+カボザンチニブは約7%と非常に継続しやすいレジメンであることが示唆されます。
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