【質問者】
鈴木 仁 順天堂大学医学部附属浦安病院腎・高血圧内科 教授
【Real world data解析からSGLT2阻害薬は蛋白尿の有無やRAS阻害薬の有無にかかわらず糖尿病性腎臓病患者へ有効である】
Dapagliflozin and Prevention of Adverse Outcomes in Chronic Kidney Disease(DAPA-CKD)試験1)はCKD患者を対象とし,SGLT2阻害薬の有効性が証明されました。ダパグリフロジン投与群ではプラセボ群に比較して有意にprimary composite outcome発生が抑制されていました〔ハザード比:0.61(95%信頼区間:0.51~0.72),P<0.001〕。一方,DAPA-CKD試験に参加した患者は蛋白尿を有しており,原則RAS阻害薬が併用されていたため,蛋白尿の有無やRAS阻害薬の併用がSGLT2阻害薬の腎保護効果にどのような影響を与えるか不明でした。
これらの疑問に応えるため,我々はJ-CKD-DB-Exを用いた検討を行いました。J-CKD-DB-Exは日本腎臓学会を中心に日本医療情報学会と共同で構築した包括的CKD臨床効果情報縦断データベースです(http://j-ckd-db.jp)。本研究では4施設から抽出した2014~18年末までの15万人弱のCKD患者データを用いました。
J-CKD-DB-Ex登録患者のうちSGLT2阻害薬新規開始患者とほかの糖尿病治療薬を開始した患者を比較し,傾向スコアマッチング法を用いて解析を行いました。主要評価項目は推算糸球体濾過量(eGFR)の年次変化とし,副次評価項目は腎複合イベント(eGFRの50%以上の低下あるいはeGFR 15mL/分/1.73m2未満)としました。
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