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腎盂・尿管腫瘍[私の治療]

No.5103 (2022年02月12日発行) P.40

住友 誠 (藤田医科大学医学部腎泌尿器外科学講座教授)

登録日: 2022-02-15

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  • 腎盂・尿管腫瘍は上部尿路腫瘍とも呼ばれ,尿路上皮から発生する尿路上皮癌が大多数を占める。膀胱癌と組織学的に同一であるが,膀胱癌と比較して一般的に予後は不良である。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    診断契機として,自覚症状の中では肉眼的血尿が圧倒的に多い。別の目的で実施された尿検査,超音波検査,CTなどの画像検査で無症候性に発見されることもある。

    【検査所見】

    尿沈渣所見は血尿を示すものが多い。尿細胞診については,悪性度の高い腫瘍では陽性を示すものが多いが,悪性度が低い場合には必ずしも陽性にならない。患側の尿管が閉塞している場合にも異常所見を示さないことがある。
    血清・尿中の分子マーカーとして確立されたものはない。

    【画像所見】

    造影CTでは,腫瘤の早期造影効果像,排泄相での腫瘤による陰影欠損像が得られる。CT urographyは多くの情報が得られるので推奨される。MRI検査も診断には有用であるが,CT urographyが施行できないヨードアレルギー症例に対する代替検査として施行されることが多い。上皮内癌(carcinoma in situ:CIS)のように,腫瘤形成を伴わずに浸潤するタイプでは,腎盂・尿管の壁肥厚を呈することがある。

    【逆行性腎盂造影(RP)と尿管鏡検査の意義】

    以下の状況の場合は,膀胱内病変が否定されていることを前提として,RPによる選択的細胞診採取および尿管鏡検査による腫瘍生検は有用である。

    ①画像検査で上部尿路に異常を認めるが自然尿細胞診が陰性の場合

    ②画像検査で上部尿路に異常を認めないが自然尿細胞診が陽性の場合

    逆に,それ以外の状況でRPや尿管鏡検査を安易に施行する必要はない。これらの検査はやや侵襲性の高い検査であり,また,生検組織が十分に採取されないことが原因による偽陰性の問題があることに留意するべきである。

    なお,後述する術前化学療法を施行する場合には,病理組織学的診断を確定するために尿管鏡による組織生検を施行することが推奨される。

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