【質問者】
野田 崇 東北大学大学院医学系研究科循環器内科学講師
【無症候性であってもアブレーションで得られるメリットは大きい】
心房細動の症状は個々の症例によって異なります。同じ発作性心房細動でも,強い動悸や胸部不快感を自覚する患者もいれば,発作を生じてもまったく症状を自覚しない患者もいます。
「不整脈の非薬物治療ガイドライン(2011年改訂版)」では,心房細動アブレーションのクラスⅠ適応は,「高度の左房拡大や高度の左室機能低下を認めず,かつ重症肺疾患のない薬物治療抵抗性の有症候性の発作性心房細動で,年間50例以上の心房細動アブレーションを実施している施設で行われる場合」とされていました。すなわち心房細動アブレーションは,発作性心房細動患者の症状を緩和する目的で施行されていたと言えます。
しかし,この10年間のテクノロジーの進歩により,心房細動アブレーションは飛躍的に有効性(洞調律維持率)および安全性が向上し,これに伴い適応も広がってきました。最新のガイドライン「不整脈非薬物治療ガイドライン(2018年改訂版)」では,無症候性心房細動患者に対するアブレーション適応が新規に導入され,“無症候性発作性心房細動で再発性のもの”,および“無症候性持続性心房細動”がクラスⅡbに位置づけられました。
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