【質問者】
森本 壮 大阪大学大学院医学系研究科視覚機能形成学 寄附講座准教授
【コロナ禍で増えたマスク装用とリモートワークの増加がドライアイを増悪させている】
COVID-19のパンデミックにおける眼表面研究のトピックのひとつに,「マスク関連ドライアイ」が挙げられます1)。これはマスクを長時間つけていることで,マスク上方の隙間から漏れる呼気が常に角膜に当たり,涙液の蒸発が促進してドライアイになるというものです。「マスクから漏れる息でドライアイ?」と思われるかもしれませんが,コロナ禍の前からこれまでにも,睡眠時無呼吸症候群患者が治療として行う持続陽圧呼吸療法(continuous positive airway pressure:CPAP)の最中にマスクから漏れ出る空気が持続的に目に当たることでドライアイになる可能性について言及した研究があります2)。
日本人はコロナ禍になる以前から日常的にマスクをつけることがめずらしくはありませんでした。しかし,これまでほとんどマスクなどつけたことがなかった欧米人においては,COVID-19のパンデミックによりマスクをつける生活を経験したことで目の調子が悪くなったと訴える患者が急増しました。海外の報告では,マスク装用によってドライアイなったと訴える割合は18.3%とされています3)。
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