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特集:低/高カリウム血症を診たらするべきこと

No.5114 (2022年04月30日発行) P.18

志田龍太郎 (浜松医科大学第一内科)

安田日出夫 (浜松医科大学第一内科准教授)

登録日: 2022-04-29

最終更新日: 2022-04-26

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志田龍太郎
2015年浜松医科大学医学部医学科卒業。2022年浜松医科大学大学院医学系研究科博士課程入学。日本内科学会認定内科医,日本腎臓学会腎臓専門医。

安田日出夫
1995年浜松医科大学医学部医学科卒業。米国国立衛生研究所(NIH)留学を経て,2022年より現職。急性腎障害,電解質異常症など腎生理学領域を専門とする。

Ⅰ 低カリウム血症

1 低カリウム血症とは何か?
血清カリウム(K)が3.5mEq/L未満の状態を「低カリウム血症」と言う。
K値が3.0mEq/L未満になると,脱力感・筋力低下が生じ,麻痺や呼吸不全に至ることがある。
重度の低カリウム血症では高カリウム血症と同様,突然の不整脈から心停止を引き起こす症例もあるため,心電図を施行すべきである。

2 低カリウム血症の原因は?
①Kの排泄の亢進,②細胞内シフト,③K摂取量の低下,にわけられる。K排泄を増加させる薬剤も原因となる。
低カリウム血症の原因検索には,①血圧,②血液ガス,③血清マグネシウム(Mg)値であたりをつける。

3 低カリウム血症の治療は?
経口K製剤(20~80mEq/日程度)が基本である。
重症例ではモニター装着の上で,静脈内投与によるK補充を検討するが,濃度は40mEq/L,投与速度は40mEq/時を超えてはいけない。
低マグネシウム血症を合併している症例には,Mgの補正をする。

Ⅱ 高カリウム血症

1 高カリウム血症とは何か?
血清Kの正常値は3.5~5.0mEq/Lであり,これを超える状態を「高カリウム血症」と言う。
重度の高カリウム血症では,症状なく,突然の不整脈から心停止を引き起こす症例もあるため,緊急を要する疾患である。
K値が5.5mEq/Lを上回った場合には心電図変化を認めるため,心電図を施行すべきである。

2 高カリウム血症の原因は?
①K摂取量の増加,②細胞外シフト,③尿中K排泄の低下,にわけられる。K排泄を低下させる薬剤も原因となる。食事摂取歴,病歴,薬歴,併存疾患で多くは鑑別される。

3 高カリウム血症の治療は?
K摂取制限,イオン交換樹脂・化合物,フロセミドの投与,薬剤調整が基本であるが,緊急時にはグルコン酸カルシウム投与,グルコース・インスリン療法,血液透析を検討する。

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