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腎梗塞[私の治療]

No.5123 (2022年07月02日発行) P.42

宮川太郎 (金沢大学大学院腎臓内科学/金沢大学附属病院医療安全管理部)

岩田恭宜 (金沢大学大学院腎臓内科学/金沢大学附属病院感染制御部特任教授)

和田隆志 (金沢大学大学院腎臓内科学教授/国立大学法人金沢大学長)

登録日: 2022-07-02

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  • 腎梗塞は,腎動脈の本幹または分枝がいずれかの原因で閉塞し,虚血の結果,末梢側の腎組織に壊死が生じる病態である。閉塞の原因として,1993~2013年に腎梗塞と診断された438例の報告では,心原性55.7%(うち86.5%が心房細動),腎動脈損傷7.5%(腎動脈解離,外傷性,Marfan症候群および結節性多発動脈炎を含む),過凝固状態6.6%,特発性30.1%とされ,心房細動による塞栓が最多である1)。さらに近年,新型コロナウイルス感染症における腎梗塞合併例が報告され,炎症を背景とした内皮機能障害や過凝固状態の機序が推測されている。腎梗塞の発症頻度は0.007%と稀だが2),重症度によっては腎血管性高血圧,慢性腎臓病の合併や末期腎不全への進展もあり,注意が必要である。

    ▶診断のポイント

    約半数が急性の側腹部痛や腹痛で発症し,時に嘔気・嘔吐や発熱を伴う。ただ,いずれも腎梗塞に特異的な症状はなく,尿路結石や急性腎盂腎炎などcommon diseaseと類似することから,診断が遅れることがある。

    レニン上昇を介した血圧上昇を呈することはあるが,上述の疾患でも疼痛に伴う血圧上昇があり,判断は難しい。尿検査では約30%で血尿を呈するが,蛋白尿は約10%と頻度は低い。血液検査において,組織壊死を反映しAST,LDHといった逸脱酵素が上昇する。AST上昇は正常~軽度にとどまるが,LDHはしばしば正常上限の2~4倍まで至り,重要な鑑別点である。血清クレアチニン(Cr)値は梗塞巣の範囲により変動が大きく,小さい梗塞では代償機転により異常を認めないこともある。

    腎梗塞を鑑別疾患と判断した際,初めに腹部超音波検査や単純CT検査を行い,より頻度が高い尿路結石を除外する。引き続き造影CT検査を行い,腎臓に楔状の造影不良域を同定すれば確定診断となる。なお,腎機能が大きく低下している場合,造影剤の使用は慎重な判断を要する。

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