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動物咬傷・動物刺傷[私の治療]

No.5124 (2022年07月09日発行) P.46

井上貴昭 (筑波大学医学医療系救急・集中治療医学教授)

登録日: 2022-07-12

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  • 本稿では哺乳類のみならず,広義に爬虫類や海洋生物を含め,ヒトに有害性を示す外的動物による咬傷・刺傷を概説する。
    動物種によるが,緊急性があるものから優先して,①アナフィラキシー(ハチ類),②止血・創処置(哺乳動物),③コンパートメント症候群に対する減張切開(マムシなど),④毒素対応(ヘビ類,海洋動物),⑤感染対策(哺乳動物),の順に評価・対応を考慮する。

    ▶病歴聴取のポイント

    バイタルサインを評価後,まずは動物種の詳細な聴取を行う。大型動物(クマ,イノシシ,大型犬等),小型動物(小型犬,ネコ,ラット等伴侶動物),爬虫類(有毒/無毒ヘビ等),節足動物(ハチ,クモ等),海洋生物(エイ,ゴンズイ,カサゴ等)など,動物種によって上述の①~⑤のリスクは異なり,治療法も大きく異なる。受傷した場所,動物の外見など,できるだけ詳細な病歴を聴取する。受傷した地域の住民の情報や知識が重要なカギになることがある。

    ▶バイタルサイン・身体診察のポイント

    アナフィラキシーショックを呈することがあり,ABCDEを速やかに評価するとともに,特徴的な膨疹,皮膚紅潮に注目する。大型動物による咬傷では,出血性ショックをきたすことがあり,輸液・輸血および一次止血の優先度を判断する。ヘビ咬傷等で時間が経った症例では,四肢・手指の灌流障害に伴う虚血症状の有無や腫脹範囲に注意を要する。咬傷・刺傷の創の観察は動物種特定につながるため,十分な観察と写真記録を実施する。

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