慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)は,①尿異常,画像診断,血液,病理で腎障害の存在が明らかで,特に150mg/gCr以上の蛋白尿や30mg/gCr以上のアルブミン尿の存在,②糸球体濾過率(glomerular filtration rate:GFR)<60mL/分/1.73m2のいずれか,または両方が3カ月を超えて持続する状態と定義される。日本のCKD患者数は約1330万人で,成人の約8人に1人と推計されている。
GFRは日常診療では血清クレアチニン(Cr)値,性別,年齢から日本人のGFR推算式を用いて算出する(18歳以上に適用)。
eGFR(mL/分/1.73m2)=194×血清Cr(mg/dL) -1.094×年齢(歳)-0.287(女性の場合には×0.739)
CKDは上記eGFRと蛋白尿(またはアルブミン尿)によって表のように重症度分類されており,「慢性腎臓病ステージG4A3」のように表記する1)。CKD重症度は死亡,末期腎不全,心血管死のリスクと相関する。
また,血尿が陽性であれば,蛋白尿が陰性でもeGFR<45mL/分/1.73m2の場合などには腎臓専門医・専門医療機関に紹介することが望ましい。加えて,原疾患に糖尿病がある場合には,さらに糖尿病専門医・専門医療機関への紹介も考慮する。
高血圧や糖尿病などの基礎疾患の治療は不可欠である。栄養療法として食塩摂取1日6gを目標とする。目標血圧は130/80mmHg(糖尿病を合併しておらず,かつ蛋白尿が陰性であれば140/90mmHg)とする。ただし,75歳以上で起立性低血圧などの有無や忍容性が明らかでない場合には,目標収縮期血圧を150mmHgに緩和する。糖尿病関連腎臓病患者では,ステージA3の場合にHbA1c 7.0%を血糖管理の目安にすることがある。このほか,管理栄養士を含むチーム医療として低蛋白食を実践することもある。
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